トヨタ、HVなど電動車関連技術の特許約2万3740件を無償で開放へ
2019年4月4日 09:29
トヨタ自動車は4月3日、ハイブリッドカー(HV)など電動車の関連技術の特許約2万3740件を無償で開放すると決定した。寺師茂樹副社長が同日午後、名古屋市内で記者会見し、説明した。
発表した内容は、ハイブリッドシステムの中核となる、モーターや電池などの主要部品が対象となる。モーター/PCU(パワー・コントロール・ユニット)/システム制御等の車両電動化関連の技術について、トヨタが保有している審査継続中を含む特許実施権を無償で提供するとともに、電動車を開発・製造するために、トヨタが保有するパワートレーンシステムを活用する際に、トヨタが技術サポートを実施することを決定したという。
米国LEV規制など世界的に環境規制が厳格化されるなか、自社で技術を囲い込む戦略を転換したと言うことだ。他社のHV技術導入を後押ししてHV市場拡大を狙う。もちろん、そこにはその先にある主要部品を共用する電気自動車(EV)などのコストダウンをも狙ったものであるのは明らかだ。
トヨタが保有するとされるHV関連の有効な特許数は約2万3740件。開放するのは電動化にかかわるモーターや電力変換装置、電池関連などHVの基本性能を左右する最新技術の大半が対象になるもようだ。
約2万件超におよぶ特許の内訳は、2015年1月より無償提供実施中の燃料電池関連を含んで、2019年3月末時点で、モーター約2590件、PCU約2020件、システム制御約7550件、エンジン・トランスアクスル約1320件、充電機器約2200件、燃料電池関連約8060件となる。適用に当たって、トヨタと具体的な実施条件等について協議の上で契約を締結する必要がある。期限は2030年末までだ。
このHVに係る車両電動化技術は、トヨタが20年以上にわたるHVの開発を通じて、高性能化・コンパクト化・低コスト化を進めてきた先進の技術であり、HV・プラグインハイブリッド車(PHV)・電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)など、さまざまなタイプの電動車開発に応用できるコア技術であることは言うまでもない。
会見で、寺師茂樹・取締役副社長は、車両電動化技術を通じた協調という今回の新たな施策を決断した理由を、「ハイブリッド車など電動車普及の必要性を感じておられる多くの企業から、トヨタの車両電動化システムについて、お問い合わせをいただくようになりました。今こそ協調して取り組む時だ、と思いました。とくにこれからの10年で一気に普及が加速すれば、電動車が普通の車になっていくでしょう。そのお手伝いをさせていただきたいと考えました」とコメントした。(編集担当:吉田恒)