JR西日本、鉄道を中核として地域との事業開発により成長を目指す
2019年3月29日 20:00
JR西日本は3月20日、宿泊特化型ホテル「ヴィアイン京都駅八条口」を4月27日よりプレオープンすると発表した。
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6月5日には「ヴィアイン博多駅前」が、7月1日には「ヴィアイン心斎橋四ツ橋」が、秋には「ヴィアイン日本橋人形町」が開業を控えている。JR西日本では鉄道を基盤として線区価値、地域価値の向上を目指して、多様な顧客の宿泊ニーズに応えるため宿泊特化型ホテルなどの積極展開を進めている。
JR西日本は1987年、日本国有鉄道の分割民営化により、北陸3県・近畿地方(三重県を除く)、中国地方を中心に鉄道路線を継承して誕生した。
現在では、在来線4,088km、新幹線では山陽、北陸の一部で813kmを有し、前期営業収益の内運輸業で63%、物販、飲食業、百貨店などの流通業で16%、ショッピングセンター、不動産賃貸・販売などの不動産業で9%、ホテル、旅行その他で11%など多彩な事業を営むJR西日本の動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期)実績と今期見通し
前期営業収益は1兆5,004億円(前年比4%増)、営業利益は前年よりも149億円増の1913億円(同9%増)であった。
営業利益増加の主な事業別要因としては、緩やかな景気拡大と2016年4月に発生した熊本地震の反動増により好調だった運輸事業で85億円、セブンイレブン提携店舗への転換推進と積極展開した「ヴィアイン」を含んで好調だった流通業で20億円、マンション販売戸数増と菱重プロパティーズを新規連結した不動産業で48億円などの増益。対して、その他で従来型ホテルの「三宮ターミナルホテル」閉館などにより4億円の減益によるものである。
今期第3四半期(4-12月)営業収益1兆1,291億円(前年同期比2%増)、営業利益1,797億円(同3%増)の中、流通業における労働力不足への対応と宿泊特化型ホテルへの開業経費、不動産賃貸業の大型物件の初期費用発生などにより、今期見通しは営業収益1兆5,165億円(前年比1%増)、営業利益1,875億円(同2%減)を見込んでいる。
■中期計画(2018年3月期~2023年3月期)による推進戦略
安全・安心を基盤に鉄道を中核とする事業を持続的に発展させ、営業収益1兆6,300億円(対前期比9%増)を目指して次の戦略を推進する。
1. エリアの観光資源を地域と共に掘り起こす地域価値の向上
・瀬戸内エリア: 鉄道とクルーズ船を組み合わせた周遊ルートの構築と食や土産物の魅力、宿泊施設の展開を連携。
・北陸エリア: 北陸新幹線の開業を生かした都市間交流の拡大。
2. 輸送サービスのブラッシュアップ、駅および駅周辺開発による線区価値の向上。
・京都、大阪、三ノ宮: 駅、駅ビル、駅周辺開発の推進。
3. 提供する商品、サービスの品質を高め事業価値の向上
・鉄道事業の安全性と生産性の向上: 全員参加型の安全管理と既存路線の安全性向上投資の推進、新メンテナンス手法への転換とサービス無人化を含めたサービスセルフ化の推進。
4. 価値の向上を目指して創造事業の深耕、領域拡大推進
・流通業: 駅ナカ店舗、百貨店のリニューアルと宿泊特化型ホテルの新規出店。
・不動産業: 大阪、三ノ宮、広島で駅周辺の不動産賃貸、販売推進。
広域鉄道ネットワークを中核として、地域と連携して成長を目指すJR西日本の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)