いなげや、今期予想を下方修正 赤字に転落へ
2019年3月27日 11:32
いなげや【8182】は26日、昨年10月に公表した2019年3月期連結業績予想を下方修正し、最終損益は5億円の黒字から、17億円の赤字になるとした。2012年に買収したスーパー・三浦屋に発生していたのれんに対して10億5,500万円の減損損失を計上、他の店舗においても固定資産の減損に係る会計基準に照らし合わせて16億2,800万円の減損損失を行うなどしたため。株価は26日13時の発表直後下落を見せたが間もなく回復し、26日終値は前日を45円上回る1,344円で取引を終了した。
【2012年に買収】いなげやが高級食品スーパー「三浦屋」を買収、完全子会社化へ
いなげやは、東京都立川市に本社を置く生鮮食料品を中心に扱うスーパー。創業は1900年で、南関東を中心に138店舗(2018年6月末時点)を展開している。株式上場は1978年、2004年からスーパー大手のイオンと業務提携している。
同社は2012年、東京都多摩地区で高級スーパーを展開していた三浦屋を買収。似たような商圏であるが客層や業態に違いがあるため協業することで相乗効果が望めるとしていた。しかし想定していた業績数値には及ばず、今後の事業計画の見直しとともにのれんの回収可能性を再計算した結果、10億円を上回る大幅な減損損失となった。
さらに連結子会社を含めた一部の店舗においても、現在の事業環境をふまえて資本の回収可能性を再計算、こちらにおいても16億円を上回る減損損失を計上する。
これらをふまえて同社は前回発表した通期連結業績予想を修正し、営業収益は2,550億円から2500億円に、営業利益は30億円から20億円に下方修正し、最終損益は5億円の黒字から17億円の赤字に転落する。
減損損失と下方修正の要因として、スーパーマーケット事業では野菜の相場安や客数と客単価の低迷を挙げており、働き方改革による全店休業日の導入の影響もあったとしている。ドラッグ事業は堅調な推移を示しているものの、スーパーマーケット事業の落ち込みを補うには至らなかった。(記事:福井廉太・記事一覧を見る)