LIXILが臨時株主総会の開催を発表 (上) 何故、ここまで追い込まれたのか?
2019年3月26日 20:29
18年10月に火の手を上げたLIXILグループの代表者人事を巡るごたごたは、いよいよ潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)と山梨広一最高執行責任者(COO)の解任の是非を問う臨時株主総会の開催を発表するに至った。
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LIXILグループは11年にトステム、INAX、東洋エクステリア、日軽金、サンウェーブ工業が統合して発足した。CEOの潮田氏はトステムの創業者である潮田健次郎氏の息子なので創業家出身と伝えられているが、LIXILグループが5社の統合企業体であることを考えると、創業家出身と表現するにはやや複雑な背景がある。
11年8月にCEOに就任したのは日商岩井(現・双日)を経て、米ゼネラル・エレクトリック(GE)に転身し、上席副社長というGEの経営中枢を担った初のアジア人として注目された藤森義明氏だった。
藤森氏は米アメリカン・スタンダードや独グローエ等の、斯界の世界的な名門企業を買収し、16年3月期までの5年間でLIXILの売上高を1.5倍に拡大した。
企業買収は既に営業基盤を確立した企業を、我が物に取り込むという意味で業容拡大効果は大きく即効性も高い。トステムの創業者である潮田健次郎氏も、建材業界の「買収王」と呼ばれるほどの辣腕を発揮し、弱小アルミサッシ会社だったトーヨーサッシを日本最大の住宅設備機器メーカーに押し上げた経歴を持つ。企業買収はLIXILの得意技なのである。
誤算だったのは、グローエの買収に連なって傘下に収めることになった、中国水栓金具メーカーのジョウユウで巨額の簿外債務による粉飾決算が発覚し、15年5月に破産処理に至ったことだ。このあおりを食らって、LIXILは660億円の損失を被ってしまった。
藤森氏が自らの退任を発表したのが15年12月であることを考えると、企業買収の失敗にケジメを付けたかのように受け止める向きもあったと同時に、この退任劇に疑問を唱える声は上がっていた。LIXILでM&Aを担当していた取締役や、ジョウユウの監査役会に身を連ねていたグローエのCEOが、3カ月の報酬減額処分で終わっていたからだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)