セブンイレブンが開けたパンドラの箱から、飛び出したモノ!(2-2)
2019年3月20日 20:17
セブンイレブンは営業時間短縮の実験を始めて、売上や客数、収益がどんな風に変化するかを検証する。恐らく今まで言ってきたことの確認作業になるだろう。だが今問われているのは、売上や収益の問題ではないことを忘れてはならない。
【前回は】セブンイレブンが開けたパンドラの箱から、飛び出したモノ!(2-1)
もちろん、セブンイレブンの全ての店が同じ困難に直面している訳ではない。本気で「24時間営業」を継続したいと思っている店が大半を占めていると思われるが、中には色々な事情で「24時間営業」からの離脱を検討している店舗もあるかも知れないという想像力が大事である。
そんな現場の状況を、セブンイレブンの本部がどこまで汲み取って、どれだけ有効な対策を取ることができるかがが問われている。
FC店と本部との対立が話題となっているこの時期に、フランチャイズFC店のオーナーと本部で団体交渉が成り立つのかという、長年検討されて来た問題に対する中央労働委員会の判断が、15日に下された。
10年にFC店のオーナーらがセブンイレブンを相手取って「団体交渉に応じないのは不当労働行為だ」と岡山県労働委員会に申し立てたのが始めだ。12年にはファミリーマートでも同様の内容で、東京都労働委員会に申し立てが行われた。
当時からすでにコンビニのFC店オーナーの中には、本部に対する要望を伝える手段がなく、第三者機関の判断を求める動きがあったということだ。14年、15年には岡山県労働委員会と東京都労働委員会で「不当労働行為だ」という認定が下され、今度はコンビニ本部が地労委の上級機関である中央労働委員会の判断を求めていた。
今回の「24時間営業」問題に関しても、FC店のオーナーらが組織する労働組合が、営業時間の弾力化を求めて団体交渉を申し入れたが、「オーナーは独立した事業者であって労働者ではない」というセブンイレブン本部の姿勢により実現していない。
地方と中央の労働委員会でさえ見解の分かれる微妙な問題である。このままでは裁判に移行して白黒つけなければ収まらない状況だ。運命共同体である筈のフランチャイズ本部とFC店で、相違する意見の調整ができない現状は、どう考えても不幸である。今回パンドラの箱から飛び出した「契約に関わらず時短営業を理由にして契約解除をしない」という姿勢を踏襲して、話し合いが可能な状況を形成する知恵が必要な時期だろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)