若かりし頃の太陽系の姿をした原始惑星系円盤を発見か アルマ望遠鏡

2019年3月19日 08:28

 国立天文台は14日、アルマ望遠鏡を使いおうし座DM星の周りに存在する円盤構造を詳細に観測した結果、太陽系とよく似た構造をもつことが判明したと発表した。

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■内側に惑星の存在が示唆されるおうし座DM星

 おうし座DM星は、地球から470光年彼方にある、300万から500万歳の若い星だ。太陽の半分程度の質量をもち、恒星が誕生する際に形成された塵やガスからなる「原始惑星系円盤」に囲まれていることが、星の明るさを波長で調べた結果予想されている。とりわけこの原始惑星系円盤は、その内側に塵の存在しない穴のような構造をもつと予想されることから、その中に惑星が存在する可能性が期待されている。

 原始惑星系円盤の中から数百万年程度の時間で塵が集まり、惑星が誕生する。「地球型惑星」と呼ばれる岩石からなる惑星は、中心星のすぐ近くで形成すると考えられる。ところが形成現場の見かけは小さいため観測が難しく、塵の分布に関する情報は乏しい状況がつづいていたという。

■太陽系同様二重の円盤をもつおうし座DM星

 国立天文台ハワイ観測所などから構成される研究グループは、おうし座DM星を囲む原始惑星系円盤が、太陽と地球の距離の約3倍の場所に存在することを突き止めた。これは、太陽系の小惑星帯の距離に相当する。

 おうし座DM星には、20天文単位程度の半径の円盤と、60天文単位より遠方に広がる淡い塵の分布が存在することがこれまで知られていた。今回3天文単位の半径の原始惑星系円盤が発見されたことで、小惑星帯やエッジワース・カイパーベルトをもつ太陽系と、おうし座DM星とが類似した構造をもつことが明らかになった。この結果はおうし座DM星を囲む塵から大型の惑星が形成されやすいことを示唆し、おうし座DM星が誕生して間もない太陽系の姿であるとも予想される。

 誕生して間もない太陽系と同じ姿とした原始惑星系円盤が、普遍的に存在するかを調べるためには、さらに多くの円盤の観測が必要になる。今後アルマ望遠鏡を用いて、どの割合で原始惑星系円盤が太陽系に似ているかについて、明らかになることが期待される。

 研究の詳細は米天文学誌Astrophysical Journal Lettersに2018年11月に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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