有給休暇の付与義務化、「賛成」6割 「人手不足で休めない」という声も
2019年3月18日 10:25
現在、多くの企業で働き方改革が取り組まれており、様々な改革目的のうち多くの職場で重要視されているものは労働時間の短縮、休暇の取得である。この背景には国連から人権上の問題を指摘されたことがきっかけとしてあり当初は政府主導のものであったと言えるが、現在では人口減少による人手不足の中でワークライフバランスを考慮し、より多くの人々に就労のチャンスを与えることで人材の確保、離職回避を図ろうとする企業の自発的な取り組みという側面が強くなっている。
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そんな中、この4月から労働基準法の改正による「年次有給休暇の時季指定義務」が課される。自由主義社会である以上、国家からの強制は望ましくない。しかも民間の自発的な取り組みが既に行われている。だが、人々がこの規制に賛同するのであれば民主主義社会として合理化されよう。そして、多くの人々はこの有休義務化に肯定的であるようだ。その背景には休暇取得に関する日本人固有の慣習を多くの人々が自覚し、これを変えるには外からの圧力も必要だと感じているということがありそうだ。
ディップが自社サイトを利用するユーザー210名をサンプルに「有給休暇の取得について」意識調査を昨年12月から今年1月に実施、その結果を7日公表している。「勤務先は有給休暇を取得しやすい風土か」という質問に対し、62%は「取得しやすい」と回答しているが38%が「取得しにくい」と回答している。
「しにくい理由」については、「人手不足で休めない」が21%で最も多く、次いで「上司が取得しないので取得しにくい」12%、「取得を良く思わない風土がある」9%などとなっており、日本固有の職場の空気が背景にあるようだ。
この4月からの労基法改正による「義務化」についての賛否を聞いた結果、「賛成」が32%、「どちらかといえば賛成」29%で、合わせて61%と6割超が「賛成」と回答し、「反対」は22%にとどまった。
賛成理由としては、「勤務先に取得させる意識づけができる」が37%で最多、また「取得することが良いことという風土が作れる」が26%などとなっており有給休暇が取りやすくなる環境への変化を期待した理由が上位を占めた。一方で「取得したい時期を尊重してくれるか不明」、「人手不足で取得できる状況ではない」、「6日以上の取得がむしろ難しくなるのではないか」などの不安の声も聞かれる。
今回の規制をきっかけに有休取得への罪悪感が軽減されるなど職場の意識が良い方向に変化するよう期待する。(編集担当:久保田雄城)