働き方改革関連法4月より順次施行 労働時間短縮がもたらす光と影
2019年3月13日 14:43
4月より働き方改革関連法が順次施行されます。この法案は主に労働法の改正を行う法律の通称で、労働者に大きく関与するのが「時間外労働の上限規制の導入」です。
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これまでも長時間労働の是正は行われてきましたが、この関連法の施行により何が変わるのでしょうか。そして、労働時間の短縮がもたらすものは、果たして光だけなのでしょうか。リアルな現場のホンネをご紹介します。
■ライフワークバランス重視型にもたらされる「光」
働き方改革のひとつとして、これまで残業時間の上限が設定されていましたが、そこに法的拘束力はありませんでした。それが4月からは法律として上限が設定されます(月45時間、年間360時間)。※中小企業への適用は2020年4月
これに抵触した場合、企業側に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
労働時間の短縮や勤務形態選択制度などは、妊娠中や産後育児期にある女性、新入社員などに広く適用されてきました。これは労働者側の労働環境に対する満足度を上げる結果につながっています。またこのような労働環境の改善は、転職市場においてもスキルの高い人材確保に好影響を与えていると言えます。
■管理職を苦しめる「影」
一方、産業能率大学が2018年に発表した「第4回上場企業の課長に関する実態調査」では、「業務量が増加している」との回答が58.9%。「プレイングマネジャー」の状態であるとの回答は99.2%にも及びます。
本来マネジメント業務に専念するべき管理職が業務量の増加で苦しむ。マネジメントに手が回らないため部下の成長にもつながらず、さらに業務が増えてしまう。こういった負のスパイラルに陥ってしまっているのです。
他にも、ある調査(※)で、60.6%の新入社員は「一時的に業務の負荷や労働時間が増えてもチャレンジングな仕事に挑戦したい」と回答しました。しかし上司や先輩の58.5%は、残業しないことを優先し、部下の成長につながる仕事であっても業務を減らしていると回答しています。
※株式会社日本能率協会マネジメントセンター「新入社員の働き方と指導者の接し方に関するアンケート調査」(2018年)
これはマネジメントと労働環境のバランスを考えることなく、労働時間短縮の名に振り回されてしまっていることを意味しています。このような歪が継続的に生まれれば、職場環境、労働環境は好転するどころか、悪化の一途を辿る可能性もあります。
■「働き方改革」が先か「意識改革」が先か
単に労働時間を減らすだけでは、管理職や他の社員に業務が回ってしまうだけです。時間内業務完遂の意識、スキルアップの意識など、仕事に対する意識改革が表裏一体で必要とされています。
さらに上司は時として、部下に「チャレンジさせる勇気」を持つ必要があります。部下の真意を量るため、密にコミュニケーションを図る必要もあるでしょう。正しいマネジメントによったスキルアップからも業務所要時間の削減につなげるなど、多方面から「働き方改革」に向き合う必要があると言えます。