博報堂DYとEAGLYSが提携、AIと秘密計算で生活者データの活用目指す
2019年3月10日 18:22
博報堂DYホールディングス(東京都港区)は7日、秘密計算技術の研究開発を手掛けるEAGLYS(東京都渋谷区)の株式を取得し、資本業務提携を行ったことを発表した。これにより広告・マーケティング分野における両社の事業価値向上を目指すとしている。
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近年、デジタルマーケティングが進展し、購買行動などの膨大な生活者データが収集しやすくなってきた。しかしこうしたビッグデータをビジネスに活用するには、プライバシー保護や企業の機密情報の取り扱いなど、データセキュリティに伴う課題があった。
そこで注目されているのが秘密計算技術だ。秘密計算とは、機密性の高いデータを暗号化したまま計算可能な技術のことで、NTTやNECなどの企業も開発に取り組んでいる。データの計算過程も保護することができ、クラウド上で集積、分析、統合などの作業できるため、個人データや企業が所有するビッグデータを安全に処理し、保存することができる。
博報堂DYは、生活者発想に基づいた「生活者データ・ドリブン・マーケティング」に力を入れており、「生活者DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」というマーケティングデータ基盤を構築・運用している。これは、購買行動や意識といった生活者データに先端技術をかけ合わせて開発されたという。
EAGLYSは秘密計算技術を中心とした研究開発と実用化に取り組むスタートアップ企業だ。2016年に設立され、AIとデータマイニング技術を利用し、データを暗号化したまま学習・推論、分析を行うSecureAIの研究開発や、セキュアな環境でのデータ蓄積・統合・分析が可能なプラットフォームの開発を手掛けている。
今回の業務提携で、博報堂DYとEAGLYSは、秘密計算とAI技術を活用したデータ連携、分析モデル・システム構築等の研究開発を共同で進めるとともに、安全で有用なデータの利活用を目的とした研究開発や実証実験を行っていく考えだ。さらに、企業・団体間のデータ連携や新たなマーケティングソリューションの開発も目指したいとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る)