超新星爆発の仕組みは星の質量が決定する 京大の研究

2019年3月10日 17:10

 京都大学は5日、太陽の質量の10倍を超える重い星が超新星爆発に至る最終段階で、水素の外層やヘリウム層を失うメカニズムを特定したと発表した。

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■3層からなる大質量星

 「大質量星」と呼ばれる太陽の10倍以上の質量をもつ恒星は、時間の経過とともに核反応が進み、中心から酸素、ヘリウム、水素の3層構造を作る。終末期になると酸素のコア内部に鉄のコアが形成され、超新星爆発を起こすことが知られている。ところがこの過程でヘリウムや水素が放出され、質量の多くを失う原因は未解明であり、天文学者が取り組む重要な課題のひとつであった。

 大質量星の多くは「伴星」と呼ばれる暗い星と連星を組む。この大質量星が赤色超巨星へと膨張する際に、外層が伴星の重力により奪われる「連星進化説」と、恒星の表面から放出される恒星風により質量を失う「単独活動説」の2つが、質量を失う原因の候補であった。

■恒星の質量とガスの統計的な関係を調査

 研究グループは、超新星爆発直前の外層の状況と誕生期の質量とのあいだの統計的な関係を調べた。その結果大質量星が赤色超巨星へと進化した際、伴星の重力により水素の外層が流出するが、その後のプロセスは質量によって変化することを突き止めた。比較的軽い星はそのまま超新星爆発を起こすものの、より重い星では恒星風によりヘリウム層を失うという。

 超新星は水素を含む量によってI型とII型に大別される。I型はさらに、ヘリウムを豊富に含むIb型、少量の水素の外層をもつIIb型、ヘリウムをもたないIc型に分類される。

 研究グループが統計的に明らかにしたのは、Ib 型とIIb 型の超新星では、誕生期の質量とヘリウムの量とが一対一で関係し、Ic型超新星では重い質量に分布が集中するということだ。IIb型とIb型の超新星では水素の外層を放出する過程は質量に依存しないため、連星進化説が支持され、他方Ic型超新星ではヘリウムの放出が質量に依存し単独活動説が支持されるという。

 研究グループは今回の研究をいかし、超新星爆発のメカニズムが恒星の質量に相関するかなどの問題に取り組むとしている。

 研究の詳細は、英天文学誌Nature Astronomyにて5日に公開されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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