エンブラエル、ボーイングとの合弁会社設立を承認 小型機事業を売却

2019年3月1日 14:48

 2月26日(現地時間)、ブラジル・エンブラエル社の臨時株主総会が開催され、ボーイング社との合弁事業会社設立が承認された。

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 エンブラエルの小型旅客機事業を分離させて新会社を設立し、ボーイングが新会社の80%の株式を、エンブラエルが残りの20%を保有することになる。エンブラエルの軍用空中輸送機である「KC-390」の販売においても協力するため、別の合弁会社を設立することについても合意されたとのこと。今後関係当局の承認を経たうえで19年末までには新会社を発足させたい考えだ。

 エンブラエルは1969年にブラジルの「国営航空機メーカー」として設立され、1994年に民営化された。ブラジル政府は、同社が民営化された後でも、「黄金株」という重要事項に対して拒否権を行使できる権限を保有していた。

 ブラジルのテメル前大統領は他国の企業が同社の経営権を握ることに難色を示していた。今回新任のボルソナル大統領は19年1月に入り、アメリカのボーイングがエンブラエルの小型旅客機事業部門を買収することについて承認に踏み切ったものである。

 エンブラエルは、座席数100席前後の「リージョナル機」に分類される小型ジェット機分野では圧倒的なシェアを誇っている。現在ボンバルディアを抜き、ボーイング、エアバスに次いで世界第3位の航空機メーカーとして位置付けられている。

 しかし、今回の買収により、日本にとっては少々不都合な事態が予測されている。

 それは三菱航空機が開発中の「MRJ」の問題だ。現在MRJは、ボーイングから「カスタマー・サポート」という分野での支援を受けている。親会社である三菱重工業が長年ボーイングの主翼や胴体などを製造していた関係から、航空機の整備や修理のサポートを受けているものだ。

 これからは、リージョナル機分野でMRJのライバルになる新会社は、果たして今後もこうしたサポートを継続してくれるのだろうか?それでなくても開発が遅延しているMRJにとっては頭の痛い出来事と言えよう。(記事:kan1713・記事一覧を見る

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