岐阜の百貨店ヤナゲン、8~9月で店舗閉鎖 物販事業から撤退へ
2019年2月25日 21:51
岐阜県大垣市の老舗百貨店ヤナゲンは大垣市高屋町のJR大垣駅前で営業している「ヤナゲン大垣本店」を8月末、同市鶴見町のインテリア専門店「ヤナゲンFAL店」を9月28日で閉店することを決めた。郊外型ショッピングセンターやインターネット通販の攻勢、若者の百貨店離れを克服できず、物販事業から撤退する。
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ヤナゲンは1910年、柳源呉服店として創業し、1966年から百貨店として営業を始めた。かつてはA、B、Cの3館体制で店舗面積約2万2,000平方メートルの「ヤナゲン百貨店」を中心に、インテリア専門店の「ヤナゲンFAL」、スーパーの「ヤナゲンストアー」を営業し、1991年には売上高約150億円を計上していた。
だが、景気の低迷とともに売り上げが落ち込み、債務超過に陥った。このため2005年に滋賀県を本拠とする大手スーパーの平和堂傘下に入り、本格的な経営の立て直しに入った。ヤナゲンストアーを平和堂に移すとともに、ヤナゲンFALを平和堂の「アル・プラザ鶴見」に縮小移転、大垣本店の売り場をA館1階に集約するなどしていた。
しかし、2005年に約50億円あった大垣本店の売上高が2018年2月期で約20億円まで落ち込むなど売り上げの低迷が続いた。さらに大垣本店の入居テナントから退店希望が相次ぐ事態となり、経営再建を断念した。FAL店の売上高も2018年2月期は約2億円にとどまっている。
物販事業からはこれで撤退することになるが、不動産事業や顧客のアフターフォローは継続する。パートを含めて89人の従業員は希望があれば、平和堂グループで雇用する。大垣本店の活用方法は定まっていない。
岐阜県の商業は名古屋市中心部に顧客を奪われているほか、郊外型ショッピングセンターやインターネット通販の攻勢、若者の百貨店離れなどマイナス要因が相次ぎ、低迷を続けている。
県内での百貨店閉店は2005年の新岐阜百貨店以来で、これにより県内の百貨店は岐阜市の岐阜高島屋だけになり、大垣市から百貨店の灯が消える。(記事:高田泰・記事一覧を見る)