米中通商交渉の行方に要注目 住信SBIネット銀行(三井智映子)

2019年2月13日 19:09


*19:09JST 米中通商交渉の行方に要注目 住信SBIネット銀行(三井智映子)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター三井智映子です。まず先週のマーケットを振り返ってみましょう。米国市場では、良好な経済指標の結果や米企業決算も概ね強い内容となったことから、先週前半はリスクオンの流れが継続されました。7日にはトランプ米大統領が米中貿易協議の期限である3月1日までに中国の習近平国家主席と会談する予定がないと明らかにしたことで、米中貿易摩擦への懸念が広がり、週後半のダウは下落しましたが、米ダウ平均、ナスダックはともに小幅に7週続伸となりました。

欧州市場では、ブレグジット問題など波乱は警戒されていたとはいえ、英中央銀行が国内の経済成長見通しを引き下げたほか、欧州委員会がユーロ圏成長見通しを1.9%から1.3%に下方修正するなど、欧州情勢への警戒感も高まっています。

日本市場では、注目されたトヨタ<7203>の決算で売上高が前期比微増の29兆5000億円、営業利益は2兆4000億円と横ばいで通期業績見通しを減額修正。連日ストップ安を演じたサンバイオ<4592>は、6日に6営業日ぶりに反発すると7日には国内大手証券が最高格付けを据え置いたことなどからストップ高まで買われました。週間では日経平均株価は455円安と大きく反落。日本の企業決算は軟調といえそうで、下方修正も目立ちます。

さて、今週のマーケットはどうなるのか?チェックすべきポイントについて住信SBIネット銀行の「ウィークリーレポート」を見てまいりましょう。

まずレポートでは、14-15日に北京で開催される米中通商交渉について、『先週7日にクドロー国家経済会議議長が米中通商交渉の合意には、米中間で隔たりがあると発言したことから楽観的な見方が後退したものの、3月1日の関税引上げ猶予期限までにあらためて中国側から物品やサービスを中心に貿易赤字の大幅削減を謳い不均衡是正を目指すとの方針を打ち出すものと見られています』と考察しています。一方、『米国側が問題視する知的財産権や国有企業への補助金問題については引き続き中国側が改革を進めるとして継続事案で何らかの妥協を図るのではないか、さらには3月1日の期限再延長の可能性との観測も聞かれるだけに、交渉の行方が注目されます』とも分析しています。

また、15日に期限を迎える米暫定予算案については、『再度の政府系機関閉鎖となるのか、閉鎖再開を回避できるか、民主・共和両党による予算案を巡る攻防』に注目し、『仮に閉鎖への懸念が高まることになれば米国経済の成長率を一段と引き下げるとの懸念が高まる可能性もあるだけにリスク資産(株式)から安全資産(債券)への資金流出による株安・債券高(利回り低下)への懸念につながる』との見解を述べています。

ユーロ圏の動向については『3月29日のEU離脱期限まで50日を切った英EU離脱問題について英メイ首相は、先週7日にユンケル欧州委員長らにアイランド国境問題などの再協議を要請したものの、EU側は再交渉の申し入れを拒否』したと伝えており、『引き続き、離脱問題を巡るポンドのほか景気減速懸念が燻るユーロの動向も注目されます』と分析。

足元では米経済指標は米雇用関連指標の堅調さが確認できていますが、そのような中で、『FRBが注目する米1月消費者物価指数が発表され、特に前年比コア指数(予想+2.1% 前月+2.2%)に対する米長期金利の反応が注目されます』と伝えています。加えて『NY連銀製造業景況指数や鉱工業生産、ミシガン大消費者景況感指数などの経済指標』が『米製造業の生産活動の動向を確認する上で注目されます』と伝えるほか、『14日に発表される米12月小売売上高でも個人消費の強弱を占う上で注目されます』と紐解いています。さらに、『12日のパウエルFRB議長の講演のほか、複数のFRB要人の講演があり米国経済の先行き見通しについての発言が注目されます』と付け加えています。

ドル/円の動向については、109円69銭~110円09銭のレンジを大きく抜けるかを注目しているほか、『14日には独10-12月期GDP速報値やユーロ圏GDP改定値が発表されるだけに、欧州経済の下振れに対する懸念が高まるのかユーロの動向もドル/円の方向性を左右する可能性があるだけに欧州発の経済指標にも注意が必要です』と述べています。

上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「ウィークリーレポート」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。

フィスコマーケットレポーター 三井智映子《CN》

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