グリーンランドの氷の下からクレーターを発見 同島では2例目 NASA
2019年2月12日 20:16
米航空宇宙局(NASA)は12日、グリーンランドの氷の下からクレーターらしき跡を発見したと発表した。今回発見された跡がいん石の衝突によるものだと確認されれば、グリーンランドでは2例目の発見となる。
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■グリーンランドでは2例目となるクレーター
今回の発見以前にも、グリーンランドの氷の下からクレーターが見つかったことがある。ハイアワサ氷河の下に約31キロメートルの大きさのクレーターが埋まっていることが、2018年11月にNASAによって公表された。今回発見されたクレーターと思われる跡は、最初に発見されたクレーターから約183キロメートル離れたグリーンランド北西部に位置する。全長は約35キロメートルで、これまで地球上で発見された中では、22番目の大きさだ。
ハイアワサ氷河で最初のクレーターが発見されるまで、グリーンランドや南極大陸に存在したであろうクレーターのほとんどが、氷によって浸食されたと科学者は考えていた。ところがグリーンランドからクレーターが発見されたため、氷河学者がグリーンランド内に存在する別のクレーターの探索に乗り出した。NASAが運営する地球観測衛星テラ及びAquaに搭載された「MODIS」と呼ばれるセンサーを活用し、ハイアワサ氷河より南東に離れた場所から、円形のパターンが発見された。
■近接するが別時代に発生した2つのクレーター
今回見つかったクレーターと思われる跡は、最初に発見されたものと別の時期に形成されたという。地形図を作成するレーダーを活用し、少なくとも7万9,000年前には氷が存在したことが判明したため、いん石の衝突はそれ以前に発生したものとみられる。
「2番目のクレーターを覆う氷の層は、最初にハイアワサ氷河で発見されたものよりもずっと古い」と、研究グループのメンバーであるNASAゴダード・スペース・フライト・センターのジョー・マグレガー氏は語る。今回発見されたクレーターでの浸食の度合いは、ハイアワサ氷河のものと比べ、約2倍進んでいるという。
同氏は、「3番目となるクレーターが(グリーンランドに)存在すれば驚きだが、その可能性は低い」と述べている。
研究の詳細は、米地球科学誌Geophysical Research Lettersにて11日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)