寒中のウォーキングは健康に寄与する 米医療機関の研究
2019年2月11日 20:41
●大寒波に襲われたアメリカ、専門家は
今冬、未曽有の大寒波に襲われたアメリカでは、専門家たちがその間の過ごし方について語っている。
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寒さの中、外出することは楽しくないというのは、多くの人が思うことだろう。しかし、家に閉じこもっているよりはウォーキングをするほうが利点は大きいという。もちろん、寒さが厳しい氷点下の中の散歩は非常に危険なため、道路の凍結や霧、風には注意が必要という、最低限のルールはある。
それでは、寒中にウォーキングをすることの利点とは具体的にどのようなものであろうか。ボストンのベス・イスラエエル・ディーコネス・メディカルセンターは、欧州いの医療誌に、免疫機能の改善や質の良い睡眠のために非常に効果があるという研究を載せている。
●屋内で長時間過ごすことの弊害
同病院の精神科医ジョン・シャープ氏は、寒波に見舞われた地域の人々が屋内で過ごす時間が増えるのは当然のこととしている。一方で、「季節性情動障害」を専門に研究しているシャープ医師は、太陽光を浴びる時間が少なくなると人間の心身に悪影響が出ることは必定だと主張している。
つまり、あまりに長時間屋外に出ない生活を送っていると、肉体的にも精神的にも疲労を覚え、悲観的になりがちだというのだ。
●ホルモンに影響を与える自然光
シャープ氏が、寒い日にも外に出てウォーキングを行うことを推奨する理由には、まず「幸福のホルモン」と呼ばれる「セロトニン」と関係がある。
自然光を浴びることは、セロトニンのレベルの上昇につながるからである。そうでなくても日照時間が少ない冬期は、セロトニンのレベルが下がりがちである。そのため、太陽光を浴びるチャンスは逃さないほうがよいというのが医師のアドバイスである。
また、過去のいくつかの研究でも季節性の鬱病に太陽の光が効果的であることは実証されてきた。また、太陽を浴びることでビタミンDが生成される。これによって、カルシウムの吸収率が上昇し、体内の炎症を抑えたり免疫システムが強化されたりする。近年では、このからくりが骨粗鬆症にもよい影響を与えると話題になっている。
シャープ医師は、一日に10分間でも外出し外気に触れるだけで、屋内に閉じこもっている人と比べると格段の違いがあると語っている。
●記憶力を強化するウォーキング
また、ミシガン大学の研究では「ウォーキング」が、記憶力を20%も強化することが判明しているという。
この研究の際に参加者たちは、夏だけでなく、氷点下となる真冬にも植物園内をウォーキングしている。研究チームは、真夏も真冬もいずれのウォーキングも記憶力の強化につながることは間違いないと報告した。
いずれにしても、寒中のウォーキングはマインドフルネス瞑想と同様の効果があると主張する学者は少なくないのである。