JR東、次世代新幹線の試験車両10号車を公開 1号車とは異なる車体
2019年2月10日 20:08
●形状が異なる2つの車体で試験
JR東日本は8日、現在開発を進めている新型新幹線試験車両「ALFA-X」の先頭車を公開した。新型試験車両の製造は山口県下松市の日立製作所笠戸工場で行われている。この日公開されたのは、10両編成の10号車となるが、2018年12月に川崎重工業で公開された反対側の先頭となる1号車の試験車両の形状とは、全く異なっている。
【こちらも】JR東、新幹線で無料Wi-Fi利用した漫画・雑誌や動画配信の実証実験
先に公開された1号車は、「鼻」となる先頭長の長さが現在のE5系の約15mとほぼ同じ約16mだったが、今回公開された10号車は約22mと、1両ほとんどが鼻といってもいいような作りとなっている。
●トンネル衝撃波への対策
新幹線が高速で走行するときに問題になるのがトンネル衝撃波である。トンネルという狭い空間に高速で新幹線が飛びこむと、トンネル内の空気を圧縮し、出口から衝撃波のように飛び出ていく。この圧力波を抑えるために先頭車両がいかに空気を後方に流すかがポイントになる。今回2種類の先頭車が作られたのは、高速走行時のトンネル衝撃波を小さくするためのデータ収集が大きな目的となる。
●地震に対する対策を盛り込む
ALFA-Xには、トンネル衝撃波だけではなく、様々な試験要素が盛り込まれる。例えば、屋根上に空力抵抗版ユニットを装着し、緊急停車時の制動力を高めている。さらにリニア式減速度増加装置を取り付け、電磁石の力を利用したブレーキも採用される。こういった装置は、地震時などの緊急停止時に役立つこととなる。安全に走行するためには、速度を上げることよりも、いかにブレーキ性能を高めるかが課題となるため、実験車両ではブレーキに関する技術の検証も行われる。
●試験車両は2019年5月に落成予定
試験車両「ALFA-X」は、2019年5月に全車両が落成する予定だ。その後、試験走行を繰り返しデータの収集を行う。現在主力として運航されているE5系の後継車両開発にあたりデータを集めることになるため、E5系の車両耐用年数がやってくる2025年から2027年あたりにかけてALFA-Xの培ったノウハウを生かした新型車両が登場すると見込まれている。(記事:speedbird・記事一覧を見る)