NGT事件が投げかけた「必要悪」との向き合い方
2019年2月8日 21:09
NGT48の山口真帆さん暴行事件は、第三者委員会の調査に入り、あとはその調査結果を待つ段階と、沈静化に向かいつつある。
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大手メディアやジャーナリストによる取材では、事件そのものには違法性がなく、一部メンバーが情報を流し、山口さんを襲うよう唆したという流れも、彼女の勘違い、あるいは思い込みであり、実行犯(不起訴)による単独犯行という結論に落ち着きそうだという。
もう少し詳しく言うと、ファンとのつながりを持つメンバーを山口さんが運営に告発したことで、運営から他のメンバーに注意喚起が為され、そのことを愚痴ったメンバーのファン(?)が、「山口さんに話をつける」ということで起こしたものらしい。
正直に言えば、これらはあくまでネットの情報なので、正確であるかどうかに関しては確信は持てないのだが、吉田豪氏や久田将義氏といった、運営に忖度する必要がなく、取材力のあるライターもこの話を裏付けており、精度はそこそこあると思う。
つまり、法的な責任は誰にも問えないので、ファンとのつながりを持ったメンバーには厳重注意なり、なんらかの処罰はあるかもしれないが、解雇や卒業といった処分にはならないのではないかと思われるのだ。もちろん、こういったグレーな決着は望ましいものではないが、恐らくはこのあたりがギリギリの落としどころになるのは、グループ存続のためにはしかたないところだろう。
しかしながら、この事件は、何度も繰り返すが、AKBGの、特に地方グループにとっては構造的な問題である。今回の件で、そこにメスを入れるかどうかということを、記者としては注目したい。
今回はNGTであったが、過去にはNMBもファンとの個人的なつながりが発覚したとして、メンバーが処分される事件があったし、HKTも初期に大量解雇があった。
AKBの姉妹グループに関しては、とにかく総選挙などで大きな結果を残し、AKBの選抜に選ばれない限り、全国区の知名度を得ることが難しいという事情がある。そのために、大量の投票をしてくる太ヲタに依存する部分がどうしても出てきてしまうのは仕方ないことだ。
NGTの事件では特定のファン集団がメディアに出てきたが、同様な集団は、どこの地方グループにも存在する。
NGTの今村元支配人は、彼らに対してクレームをつけた人に「彼らを飼いならしている」という趣旨の発言をしたとされているが、自分のグループのメンバーを1人でも多くAKB選抜に送り出してあげたいと思う部分もあったのではないだろうか?
この手の厄介グループは、ネットなどでの発言力も強く、現場を仕切るような真似もしているケースもあるため、確かに使いようによっては便利な部分も存在するのかもしれない。しかし、その一方で、なかにはチケットや限定グッズの買い占めと転売、詐欺まがいの写真うりつけ、さらには個人情報の売買やキセル行為の幇助といった犯罪スレスレの真似をしているグループもあるという。
運営にとっても、メンバーにとっても、近づけたくはないが、いなくなると困るというジレンマを抱えているだろう。
これは、AKBGの姉妹グループのみならず、地下アイドルや地方アイドルから、AKBや乃木坂といった大グループまでが抱えている問題でもある。
それでも、選挙のない坂道や太ヲタに頼らずとも運営できる大規模グループなら影響力は低くなり、距離を置くための手段も考えられるが、「必要悪」として、その価値に頼らざるを得ないグループやメンバーにしてみれば、どうしようもない部分も出てくるのだろう。
あくまでも記者個人の考えではあるが、NGT48は一度解散するべきだと思っている。そのうえで、山口真帆が提唱するような、クリーンではあるが全国区への道は自力で切り拓いていかなくてはいけない必要悪を排除したグループにするのか、あるいは毒を薬にする意図を持ち続け、安全性を配慮したうえで、必要悪とはつかず離れずの関係を維持するグループにするのかをはっきりさせて、再結成をしてほしい。
もちろん、無理な話ではあるだろうが……。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)