授乳期間が利き手を決定する一要因に? ワシントン大学の研究

2019年2月2日 16:16

●遺伝だけとはいえない利き手を決定する要因

 ある統計によれば、右利きの人は90%、左利きの人は10%であるという。ワシントン大学が医学誌『Laterality』に発表した研究によると、利き手を決定する要因は遺伝的なものだけではなく、外的要因にも左右されるという。

【こちらも】鱗食魚の左右の「利き」が成長とともに強化されることを発見―名大・小田洋一氏ら

 その外的要因のひとつが、母乳を与えた場合の授乳期間である。つまり、哺乳瓶の使用を早い時期に開始すると、左利きになる確率が高くなるというのである。これは、大脳における右半球と左半球の機能的な優位性に影響を与えるためだと研究チームは推測している。

●6万組の母子を対象に調査

 研究チームは、母子を対象にした過去の7つの研究をもとに、6万組の母と子の調査を実施した。分析の結果、授乳期間が長いほど右利きになる割合が高くなることが判明した。

 母乳育児が1カ月未満であった場合に子供が左利きになる可能性は、出生当初から粉ミルクで育った子供より9%割合が低くなり、6カ月で15%、6カ月以上9カ月未満は22%それぞれ低下した。9カ月以上母乳で育って子供の場合は、その後の利き手の決定の要因との関連性は見られなかったという。

 いずれにしても、母乳での授乳期間が長いほど右利きになる可能性が高い。

●母乳育児が脳に与える影響とは

 ワシントン大学のフィリップ・フージョエル教授は、母乳による授乳は幼児の手が機能を始める時期に、脳に良い影響を与えているのではと推測している。

 また今回の研究は、母乳を与える期間が6カ月から9カ月であることが最良という結果をももたらしたと教授は語っている。しかし研究チームは、今回の研究はあくまで目安であり、粉ミルクで育った子供に対して母乳で育ったこともの優位性を示すものではないことを強調している。

 いずれにしても、利き手は胎児の段階で決定されるため、遺伝的要素を否定することは不可能としている。

関連記事

最新記事