訪日客、欧米系が人数・消費額とも増大傾向 アジア系は減速

2019年2月1日 15:56

 2018年の訪日外国人観光客の人数は3119万2000人で前年比8.7%の伸びで引き続き過去最高を更新した。訪日客の7割以上は中国、韓国、台湾、香港の東アジアからで欧米豪からの訪日客は少数派の状況が続いている。しかしこのところ東アジアからの訪日客の伸びには減速感が見られる。

 観光庁が今月公表した「訪日外国人消費動向調査2018年年間値(速報)」を見ると、渡航元が判明している2885.4万人の対前年比は10.0%の増加であるが、中国が21.8%増と大きく伸びているものの、韓国が5.6%増、台湾が4.4%増、香港が0.8%の減少と全体の伸び率を下回っている地域が増えている。これに対してベトナムの25.9%増、インド15.2%増など東アジア以外のアジアとロシア22.0%増、イタリア19.3%増、スペイン19.3%増、ドイツ11.9%増、オーストラリア11.3%増、米国10.9%増など欧州・豪州からの訪日客が全体の伸びを上回る2桁の伸びとなっている。

 18年中の訪日客の消費総額は4兆5064億円で従来ベースの推計で昨年と比較すると8.7%の伸び、1人当たり支出額は15万3千円となっている。消費額の国・地域別のシェアを見ると、中国、韓国、台湾、香港の東アジアのシェアの合計は67.5%で、これは人数でのシェア73.4%より低く、東アジア以外の訪日客の1人当たり消費額が東アジアのそれを上回っていることを示している。これは欧米豪からの訪日客の宿泊日数が東アジアのそれより長く宿泊費のウエイトが高いためと考えられる。東アジア以外の平均宿泊日数はベトナムの38.6日が最高だが、欧米豪では全て10日を超えている。

 1人当たり支出額を国籍・地域別にみると、オーストラリアが24万2千円で最も高く、次いでスペインの23万7千円、イタリアが22万4千円の順となっておりアジア以外の国が上位を占め、買物を重視する中国は22万4千円となっている。以降、英国、フランス、ドイツ、米国、ベトナム、カナダの順となっており、欧米豪で1人当たり消費額が多い。

 日本政府は東京、大阪、京都に集中する訪日客を広く日本全土の観光地に分散したいと思っている。東アジアからの訪日客は買物を重視する一方、欧米豪では歴史、文化を重視しており、地方への誘致のターゲットを欧米豪からの訪日客に絞っている自治体も少なくない。山口県が昨年行った人気英国人YouTuberを活用したインフルエンサー・マーケティングが成果を上げている。欧米豪からの訪日客の増加傾向もこうした自治体の努力が背景にあるのだろう。(編集担当:久保田雄城)

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