三菱電機、ZEBの普及を目指す 省エネと創エネを担う実証棟を建設
2019年2月1日 20:59
三菱電機は1月30日、ZEB(net Zero Energy Building)関連技術の実証棟を建設すると発表した。
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ZEBとは、快適なビル環境を実現しながら、ビルで消費するエネルギーをゼロにすることを目指す建造物だ。ビルで必要なエネルギーを省エネで削減する一方で、ZEBでエネルギーを創る。省エネと創エネでビルのエネルギーを賄う構図だ。
環境省は2018年12月27日、公共建築物等の省エネ化に係る課題と促進方策を発表。地球温暖化対策の一環としてZEBを推進する考えだ。その報告によれば、日本のエネルギー消費の内、業務部門は約2割を占める一方、業務部門での地球温暖化対策計画は、2030年度に2013年度比で約4割のCO2削減と高い目標だ。具体的な方策は、「2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することを目指す」という。
ZEBの課題は、認知度や費用対効果である。投資を行うオーナーが光熱費節減のメリットを直接享受する訳ではない。一方、テナントのニーズは、省エネ性能よりも耐震性や利便性などを重視しているという。
また、地方公共団体の建築物では、費用対効果が重視される一方、工期が複数年に及ぶことから単年度の補助金活用に至っていないのが現状のようだ。
ZEBの光熱費節減以外の便益は、災害時の創エネ機能に加えて、働きやすさやなどをオーナーとテナント双方に訴求していくことが重要としている。今回の発表は、ZEBに関する省エネ技術の開発と実証実験を加速するためのZEB関連技術実証棟建設だ。
●ZEB関連技術実証棟の概要
鎌倉市大船に、36億円を投資して2,000平方メートル面積の実証棟を建設。2020年6月に稼働を開始する。36億円の内16億円が実証実験関連機器投資という。
実証棟は、創エネによる一次エネルギー供給量で実証棟内の設備による一次エネルギー消費量をすべて賄うことを目指すという。
省エネや創エネ向け機器単体ではなく、建築物全体での性能や効果を実証していくことが適切な訴求点に繋がるのであろう。地球温暖化対策の一つの方策として、ZEBが認知されていくことを願う。(記事:小池豊・記事一覧を見る)