シャープ、3Q累計最終利益率は過去最高 貿易摩擦等を鑑み、通期予想を一部見直し
2019年1月30日 22:51
2018年度 第3四半期 連結業績概要(1)
野村勝明氏:本日は、ご多忙のなかお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また日頃は、当社の広報活動にご協力を賜り、誠にありがとうございます。それでは、お手元にお配りしておりますパワーポイント資料に沿って、ご説明させていただきます。
まず、2018年度第3四半期の連結業績概要です。
第3四半期は、事業環境を勘案し、上期から進めている「量から質へ」の転換をさらに推し進めました。その結果、米中貿易摩擦や大手顧客の需要変動などが売上に影響するなかにあっても、前年同期を上回る親会社株主に帰属する四半期純利益(最終利益)と最終利益率を確保することができております。
また、(2018年)4月から12月までの累計の最終利益率は、過去最高となっております。
2018年度 第3四半期 連結業績概要(2)
次のスライドに、2018年度第3四半期の業績数値をまとめております。
売上高は、前年同期比10パーセント減の6,425億円となりました。利益については、営業利益が前年同期比28.6パーセント減の212億円、経常利益が37.3パーセント減の188億円となりましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は7.3パーセント増の221億円となりました。
事業環境を勘案し、「量から質へ」の転換を推進したこともあり、売上が前年同期を下回った第3四半期においても、最終利益と最終利益率は前年同期を上回っております。
2018年度 第3四半期 セグメント別増減分析(対前年同期)
次のグラフは、売上高と営業利益の前年同期比での、セグメント別増減分析です。
ご覧のとおり、商品部門であるスマートホームとスマートビジネスソリューションが堅調な一方、デバイス事業とテレビ事業に関わるIoTエレクトロデバイスとディスプレイシステムの2区分が、全体を押し下げました。
これは、米中貿易摩擦などによるデバイスの顧客の需要変動や、「量から質へ」の転換に向けた、中国でのテレビの販売抑制などによるものです。
2018年度 第3四半期 営業利益増減分析(対前年同期)
次のグラフは、営業利益の前年同期比での増減分析です。
当第3四半期の前年同期からの営業利益の変動は、コストダウン・モデルミックスによる234億円の利益増や、経費削減に係る16億円の収益改善などがあった一方、売価ダウンによる286億円の利益減、販売減に伴う26億円の収益影響などがあったことによるものでございます。
2018年度 第1~3四半期累計 連結業績概要
次は、2018年度第3四半期までの累計の業績数値です。
売上高は、中国でテレビ販売を抑制したことなどから、前年同期比3.2パーセント減の1兆7,715億円となりました。利益については、営業利益が前年同期比3パーセント減の682億円、経常利益が12.8パーセント減の620億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が13.9パーセント増の630億円となりました。
継続的に体質改善を推進している効果もあって、第1四半期から第3四半期までの累計の最終利益率は、四半期開示を開始して以来、過去最高となっております。
セグメント別売上高
次のスライドは、セグメント別売上高の一覧です。
スマートホームの第3四半期の売上高は、前年同期比19.9パーセント増の1,786億円となりました。エアコンやエネルギーソリューションの海外EPC事業が大きく伸長し、掃除機や洗濯機なども好調でした。そのほか、昨年(2018年)10月に、Dynabook株式会社を連結子会社化した効果もありました。
スマートビジネスソリューションは、前年同期比2.5パーセント増の792億円となりました。
IoTエレクトロデバイスは、半導体などが伸長したものの、大手顧客向けのスマートフォン用センサーモジュールやカメラモジュールなどが前年同期を下回り、28.4パーセント減の1,377億円となりました。
アドバンスディスプレイシステムは、中国でテレビの販売を抑制したことや、大手顧客のスマートフォン用パネルの需要変動があったことなどから、前年同期比15.1パーセント減の2,672億円となりました。
液晶テレビ事業では、新4K8K衛星放送が始まった国内などで伸長し、販売を抑制した中国向けを除いた売上は増加しています。
ディスプレイ事業は、スマートフォン用パネルの販売が減少した一方、PC・タブレットなどの中型パネルの販売が増加し、売上が増加しました。
セグメント別営業利益
続いて、セグメント別営業利益の一覧になります。各セグメントとも、黒字になっております。
スマートホームの営業利益は、前年同期比2.1パーセント増の108億円となりました。白物家電を中心に販売が増加したことに加え、コストダウンが進んだことなどによるものです。
スマートビジネスソリューションは、販売が増加したほか、経費が減少したことなどもあり、前年同期比44.4パーセント増の59億円となりました。
IoTエレクトロデバイスは、販売減の影響や成長投資に伴う償却費の増加などはあったものの、経費削減やコストダウンの取り組みにより、25億円の黒字となりました。
アドバンスディスプレイシステムは、販売の減少や米中貿易摩擦の影響などによる市況の悪化に加え、有機ELディスプレイの立ち上げ費用などもあるなか、コストダウンを推進したことなどから、78億円の収益を確保いたしました。
営業外損益・特別損益・法人税等の概要
次のスライドは、主な営業外損益・特別損益・法人税等の概要です。
2018年度第3四半期についても、営業外損益として為替差損や持分法による投資損失などがありましたが、前年度同様、大きな営業外損失・特別損失などは発生していません。
連結貸借対照表推移
次のスライドは、貸借対照表の推移です。
2018年度第3四半期末の現預金は、2018年度第2四半期末の2,943億円に対して2,957億円に増加しています。2018年度第3四半期末の純資産は、着実な利益の積み上げにより、2018年度第2四半期末の4,317億円から4,446億円へと増加しています。
なお、自己資本比率については、利益の積み上げにより自己資本が増加する一方、前期比での売上増に伴う売掛金の増加などにより総資産も増加したことから、第2四半期末比でほぼ横ばいとなっています。
たな卸資産の推移
次のスライドは、たな卸資産の推移です。
2018年度第3四半期末のたな卸資産は、Dynabook株式会社を連結子会社化したことに加え、米中貿易摩擦などによる需要変動が一時的に影響したことなどもあり、2018年度第2四半期末の2,326億円から2,783億円に、月商比では1.24ヶ月から1.41ヶ月になっています。
事業ポートフォリオを鑑み、引き続き適正な在庫水準を維持していますが、事業環境が大きく変化するなか、需要動向や販売リスクをこれまで以上に注視し、在庫の管理をさらに強化・徹底してまいります。
有利子負債の推移
次のスライドは、有利子負債の推移です。
2018年度第3四半期末の有利子負債は、2018年度第2四半期末の6,544億円からほぼ横ばいの6,548億円となっています。
純有利子負債については、現預金が増加したことから、2018年度第2四半期末の3,601億円に対し3,591億円と減少しています。引き続き在庫の適正化や効率的な設備投資の実施に努め、キャッシュ・フローの改善を図ります。
2018年度 通期 連結業績予想(1)
次は、2018年度通期の連結業績予想です。
米中貿易摩擦の影響などにより、デバイスを中心に顧客需要に変動が生じたことなどから、通期の業績予想の見直しを行いました。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、「量から質へ」の転換を図っており、体質改善も進んでいることから、上期の決算発表時に上方修正した前回予想を達成できる見通しです。
最終利益率については、平成の30年間で過去最高となる見込みです。
2018年度 通期 連結業績予想(2)
次のスライドは、業績予想の数値です。
売上高は、前年度比3パーセント増の2兆5,000億円となっています。
利益は、営業利益を前年度比18.7パーセント増の1,070億円、経常利益を7.5パーセント増の960億円、親会社株主に帰属する当期純利益を28.2パーセント増の900億円としています。
2018年度 下期における主な取り組み
次のスライドは、上期の決算でもお示しした、下期における主な取り組みです。
現在、当社は継続的な成長のために、新規事業の創出、グローバルでの事業展開、M&Aや協業による社外リソースの取り込み、競争力の強化を進めており、下期もこの考えに沿ってさまざまな取り組みを行っていきます。
第3四半期は国内で、新4K8K衛星放送に対応したテレビや、有機ELスマートフォンを商品化したほか、AIoTクラウドサービス「COCORO WASH」に対応したプラズマクラスター洗濯乾燥機など、AIoT搭載家電を拡充しています。
海外では中国やマレーシア、ベトナム、シンガポールなどで新製品発表会を行うなど、積極的に事業戦略説明や製品プロモーションを行いました。
また、Dynabook株式会社を予定どおり連結子会社化いたしました。
このほか、デバイス事業では顧客需要の変動があるなか、当社の強みを活かすことで、第2四半期を上回るカメラモジュール販売を確保するとともに、ディスプレイの中型シフトを進めることができました。
こうした取り組みにより、第3四半期の当社の売上は第2四半期から伸長いたしました。第4四半期は顧客の需要動向を鑑み、デバイス事業での大きな伸長は見込んでいませんが、第3四半期以降の取り組みの効果に加え、季節要因もあることから、商品事業を中心に引き続き前期比で伸長する見込みです。
中長期的な成長の方向性
次のスライドをご覧ください。最後に、中長期的な成長の方向性についてご説明させていただきます。
かつて、当社の商品事業の領域は、図の左下にあるような家電機器やオフィス機器が中心でした。
現在は「8K Ecosystem」と「AIoT World」の構築、グローバル事業拡大という重点戦略に沿って、さまざまな8K関連機器やデバイス、AIoT機器やサービスも開発しており、さらにはこれらを融合して、「SMART HOME」や「SMART OFFICE」「SMART FACTORY」の創出を進めていきます。
こうした方向性のもと、新規事業の創出、グローバルでの事業展開、M&Aや協業による社外リソースの取り込み、競争力の強化による事業成長を図るとともに、技術とブランドに特化した企業への転換を進めています。そして、事業ビジョンの「8KとAIoTで世界を変える」を実現してまいります。
(以降は)補足資料として、セグメント別売上高・営業利益等の実績をまとめています。
当社は事業環境を勘案し、さらには今後の成長のため、「量から質へ」の転換を進めています。これにより、事業拡大を継続するだけでなく、さらなる収益力の強化や財務体質の改善を目指しています。
また、本日(2019年)1月30日には、昨年(2018年)10月30日にリリースさせていただきましたとおり、A種種類株式20万株のうち9万2,000株を約851億円で取得し、償却しています。今後とも、こうした取り組みを通じて、株主をはじめ、すべてのステークホルダーの利益の最大化を図ってまいります。
ご清聴ありがとうございました。