NGT問題を風化させないために

2019年1月29日 12:51

 事件発覚当初は、燎原の火のように瞬く間に全国的な問題として広がったNGT48山口真帆さんの暴行事件だが、その後テニス大坂なおみやサッカー日本代表の活躍、さらには人気グループ嵐の活動休止ニュースなどもあり、あっという間に話題にされなくなり始めている。

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 というよりも、一部のマスコミの報道に煽られて、メンバーへの個人攻撃、運営バッシングと、「いつもの」ヲタのバカ騒ぎとして片づけられるかのような風潮さえ感じられるわけだが、最近では被害者である山口さんへのセカンドレイプのような暴言まで書かれるようになり、問題は一層深刻化、不透明化してしまうのではないかと危惧させる。

 運営からのニュースといえば、研究生公演を皮切りに2月を目途に公演を再開することと、第三者委員会で問題を解明していくということで、いかんせん、ファンにしてみれば隔靴掻痒の感をぬぐい切れないのが正直なところだ。

 そこで、本欄では、すべての原因になっていると思われる「恋愛禁止」に関して、改めて初心に戻って検証してみたい。そもそも、今回の事件は、ファンとつながっているメンバーの存在を山口さんが運営に訴え、そのことを逆恨みしたメンバーが犯人たちを唆したという説(あくまで説である)がある。

 それが真実かどうかはわからないものの、運営からの聞き取りに際して、ファンとのつながりを自白したメンバーもいるということで、少なくとも「恋愛禁止ルール」を守っていないメンバーがいることは確かなのであろう。

 この「恋愛禁止ルール」に関しては賛否両論あり、一部の人権派団体などは人権侵害であると考えてもおり、またファンからは人気商売だからそれは義務(もしくは自己責任)という声も多いが、果たしてどうなのであろう?

 そもそもプロデューサーの秋元康氏が、ルールがあるといったり、ないといったり、結構ぶれているのでグレーゾーンがひろがってしまうわけであるが、初期に言っていたのは「優先順位」の問題だった。

 まだ、AKBが芸能界へのプラットフォームとして産声を上げた当初、「芸能界で成功したいという強い意志を持つのなら、恋愛を含めたプライベートよりも、レッスンや公演を優先しなさい」という、非常にまっとうなところからスタートしている。それが、AKBそのものが人気グループに育っていく過程で、いつの間にか恋愛禁止はファンへのサービスになり、破った者はクビにするとか、そうでなくてもさらし者になってネットリンチの生贄にしてもいいという方向に歪んでいった。

 メンバーにしてみれば、優先順位の問題であれば、自分の自覚でモラルを守ろうとするだろうが、ファンサービスなら「ばれなければいい」という意識になってしまう子もいるだろう。

 ましてや今ではOGが「実は彼氏はいました」なんてテレビや雑誌で暴露しはじめていたりするので、余計にそうなってしまう。この連鎖を止めるには、NGTがどうこうではなく、グループ全体として、もう一度意思を統一する必要があるのではないだろうか?

 そもそも、なぜ「恋愛禁止ルール」があるのか?
(1) 初期のとおり、優先順位として自分の目標を見失わないでほしい。
(2) アイドルとしての仕事に悪影響がでるようなことを防ぐため。
(3) 反社会勢力・犯罪者予備軍との接触を防ぎ安全を確保するため。

 特に(3)は重要かつ深刻で、握手会で不特定多数の人間と直接接触する機会を作っておきながら、そういう人間と距離を保ちなさいという矛盾を、メンバーの自覚と力量に丸投げしてしまっている。

 NGTの事件も、犯人は一度の握手会で数十万を使う太いヲタであったらしいが、握手会の人気がポジションや推し干しに直結するシステムである以上、追い詰められているメンバーが彼らに依存してしまい、つけこまれる隙ができてしまうのは、ある意味しかたないことでもあるのではないだろうか?

 何度でも繰り返すが、AKBは初期の「プラットフォーム」から「人気アイドルグループ」になり、全国・アジアを席巻する「スーパーアイドル」へと進化したが、運営は巨大化するだけで身の丈にあった質的進化ができていないのだ。

 記者は、今こそ秋元康氏にもう一度表に出てきてもらって、この穴の開いた部分をどうするのか、はっきりとした意思を聞かせて欲しい。現状、秋元氏にもどうすることができない部分が増えてきてしまっているのは理解した上で、秋元氏自身がどう思っているのかを聞かせて欲しいと思う。

 責任者としてというのが難しいのであれば、一人の大人の男性としての考えでもいい。彼の率直な考えを聞きたい。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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