空き家長期不在3百万戸超、所有者特定の負担大
2019年1月29日 09:43
総務省は平成25年に実施した住宅・土地統計調査で全国に空き家が約820万戸あり、このうち長期にわたり不在状況にある空き家が318万戸にも上っていることから代執行を含め先進的に取り組む自治体37を中心に93自治体に取り組みを調査した結果を28日までに公表した。
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その結果、現場を任される自治体では(1)空き家の所有者特定に相続人が多数いるなどの場合、担当職員の少なさなどから事務負担が大きいことが浮き彫りになったほか(2)管理不全の空き家に対して所有者に助言や指導をしても改善してくれない、代執行するにも具体的な手順がわからない、代執行した後の費用回収が困難との課題を抱えていた。合わせて(3)空き家バンクの登録戸数が伸び悩んでいることも分かった。
所有者が分かり助言や指導をしたが改善に1回では応じなかった理由では71事例のうち、21事例は「指導や助言に無反応」。次いで「経済的理由」(18件)、「相続放棄や相続人間のトラブル」(12件)があり、「危険性や管理責任を認めない」ものも5件あった。経済的理由で改善できない人のためには自治体の補助制度や民間の解体ローンなどの案内をしていた。
代執行した場合では費用回収が困難であることも浮き彫りになった。48事例中、全額回収できたのは5例にとどまった。自治体は回収に分割納付や財産の差し押さえ、財産管理人制度を活用し、空き家除去後の土地を売却するなどしていたが、課題は大きい。(編集担当:森高龍二)