テクニカル素材と最高級素材をミックスして生まれる、エルメス流モダニティ

2019年1月28日 16:10

 素材やクオリティ、そしてデザイン性の高さで注目されるメゾン「エルメス(HERMÈS)」。在任期間が25年以上にも渡るヴェロニク・ニシャニアンによる最新コレクションについて言及したい。    会場はオーギュスト・ペレ設計のフランス国有動産管理局で、元々ゴブラン織りの工場だった建築物。現在は大統領官邸のエリゼ宮などの調度品を制作・保管する場となっている。  コレクションはシンプルで洗練されたムード。美しいカラーパターンで遊びを入れながら、クラシック一辺倒ではなくモダンなスタイルに昇華させた。モデル達にはスニーカーではなくショートブーツやレースアップのシューズを合わせるも、分厚いラバーソールで新鮮な味付けをすることで、足下にもモダンな表現が見られた。

 今季は特にシャツの下に色味のあるタートルのTシャツを合わせるレイヤードのスタイリングが多く、それが全体をフレッシュに見せている。またトワル・コスモスと呼ばれるシルバー色のリバーシブルブルゾンや、ルージュH色のゴム引き素材のトレンチコートなど、様々なテクニカル素材のアイテムがコレクションを彩っていた。  元来、馬具工房であるがゆえに、これまでも馬のモチーフが度々見られたが、今季は西洋風のドラゴンが登場。ミリタリー調のコートのボタンや、ジャカード織りのジャケットのモチーフ、そしてシャツのプリントとしてその姿を現している。ディテールやアクセサリーも含めて、これまで以上に語るべき要素が多いコレクションとなっていた。 ・「エルメス」2019秋冬コレクション 取材・文:清水友顕

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