シニア世代からの新入社員 パソナグループ「エルダーシャイン」80名雇用へ
2019年1月24日 12:51
パソナグループ(東京都千代田区)は22日、定年退職者の雇用を目的とした「エルダーシャイン」制度を4月1日より開始すると発表した。定年退職後も働くことを希望する人が多い一方、人手不足に悩む産業界にとっても期待されるサービスと考えられる。
【こちらも】高齢者雇用が過去最高に 4分の1の企業が制度設ける
「エルダーシャイン」制度ではフルタイムの勤務の他に週に数日の勤務や短時間での勤務など、その人の実情に合わせた雇用形態を選択できる。主なキャリアルートは(1) 地方創生サービスクルー、(2) 専門エキスパートクルー、(3) ベンチャークルー、が用意されている。
「地方創生クルー」では、U/Iターン希望者を対象とし、地域活性コンサルタントやサービスクルー等として、イベント企画・施設運営業務を担当する。「専門エキスパートクルー」では、営業、財務、人事など専門性に特化した業務に従事。「ベンチャークルー」では、専門コンサルタントからアドバイスを受けながら独立起業に向けたプラン作成などを行う。
人口減少社会の中で、こうしたシニア世代の雇用は無視できないものとなる。団塊の世代を抱える60代は人口的にも大きなボリュームゾーンとなっており、定年退職による人材の減少は企業にとっても痛手だ。豊富なキャリアを持つ世代だけに、その穴埋めを新規採用だけで埋めるのは困難だろう。
一方でシニア世代の中には旺盛な勤労意欲を持ち合わせている人も多い。パソナグループが行った「65歳以降の働き方に関するアンケート」(回答者数292人)によれば、「70歳くらいまで働きたい」と回答した人が33.6%、「年齢は問わず元気に働きたい」と回答した人が18.5%いた。定年後の楽隠居を好まず、外に出て働きたいと思うシニア世代が少なくないことがわかっている。
またこうしたシニア世代は自身の心身について若々しく感じ取っている場合が多いようだ。PGF生命が昨年60歳を迎えた2000人に行った調査によれば、自身の精神年齢についてもっとも多かったのが「50~54歳相当(28.2%」」との答えで、平均は45.6歳と実年齢を大きく下回った。また肉体年齢についても同じく「50~54歳相当(31.0%)」が最も多くなっており、平均54.5歳となった。心身ともに自分はまだ現役と考えるシニア世代の心理を表した格好だ。
派遣大手のパソナグループがこうした就労意欲の旺盛さと豊富な仕事経験を合わせ持ったシニア世代の雇用に成功すれば、他の業界や企業でも同様の制度が生まれる可能性もある。労働生産人口が減少する中で、シニア世代の雇用が功を奏すると期待されている。
「エルダーシャイン」制度の募集は23日から開始し、80名の雇用を目指している。3月下旬に行われる「65歳からの入社式」を経てから、就業を開始する予定だ。(記事:藤原大佑 ・記事一覧を見る)