人工衛星で夜空に広告を映し出す ロシア企業が計画発表も危惧する意見多く
2019年1月21日 16:27
ロシアの企業「START ROCKET」が、人工衛星を用いて宇宙空間に企業広告を表示すると発表した。空に広告を映し出すということ自体、前代未聞ではあるが、人工衛星を用いて宇宙空間に表示させるということで、多くの意見が集まっている。
宇宙空間に企業広告を表示する仕組みは、次の通りだ。打ち上げられたロケットは高度500kmほどの宇宙空間に、複数の人工衛星とディスプレイの役割をする帆をばらまく。太陽光を用い、帆の向きや場所をコントロールすることによって、企業のロゴや広告を映し出すという。
START ROCKETによると、既にロシア・スコルコボ科学技術の協力により、小型衛星のプロトタイプを開発済みとのこと。同社の公式サイトでは、実際に夜空に広告が表示された際のCGイメージを公開している。
早ければ2020年には打ち上げテストを行い、2021年にはスタートを切る予定であるとのことだが、その実現にはいくつもの疑問点がある。
事業計画には不明とされる部分も多く、実行できるだけの資産や広告を依頼する企業を見込めるかなど、疑問を感じずにはいられない部分もあるのだ。
また宇宙空間という特殊な環境により、今回の事業計画発表には多くの批判が寄せられている。
数万キロ以上離れた場所にある小さな光を研究している天文学者にとっては、企業広告の光が研究の妨げになるのではとの意見もある。また太陽光を利用するということは、見られる時間や場所が限られるのではという学者的見解も寄せられている。
ネット上にも空(宇宙空間)の権利や、星空を見上げたときに、広告が目に入るのはどうなのかという批判的な意見が目立つ。
現実までには技術的な面だけではなく、広告を出すメリットなど多くの問題がありそうだ。(記事:中川リナ・記事一覧を見る)