後席シートベルト着用義務10年、着用率4割未満 危険性認知せず

2019年1月21日 09:34

 11年前の2008年、道路交通法の改正によって運転者を含む全ての同乗者にシートベルト着用が義務づけられた。道交法71条の3は「自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(省略)に乗車させて自動車を運転してはならない」となっている。違反行為をした場合、高速であれば「違反点数1点」の罰則が運転者に課される。一般道では後席の場合、口頭注意のみであり実質的な罰則適用はないというものの違反行為であることには変わりはない。しかも責任を負うのは後席同乗者ではなく運転者である。

 そもそも道交法で着用義務が規定されているのは未着用で事故が起こった場合極めて危険であるという実証があるからで、罰則を受けるからという理由ではなく、未着用の危険性を認知し、自らと同乗者の安全のためにシートベルトを着用すべきであろう。着用義務から10年、後席シートベルト着用の実態はどうなっているであろうか。

 12月19日にJAFが警視庁と合同で10月上旬に実施した「シートベルト着用状況全国調査」の集計結果を公表した。調査結果によれば、全国884か所で調査した結果、後席のシートベルト着用率は一般道路で38.0%、前年比1.6ポイント増加と過去最高となった。わずかながらも着用率は上昇傾向だが未だ4割にも達していない。

 ちなみに、運転席の着用率は一般道路で98.8%、高速道路等で99.6%、助手席は高速・一般ともに90%を超えている。後席着用率については、08年に着用義務化となったのを契機に07年の8.8%から08年の30.8%と急上昇したものの、その後横ばいで推移しており、未着用の危険性が十分認知されていないようだ。特に一般道での着用率の低さが目立つ。

 JAFが指摘している後席シートベルト未着用の危険性3つを列挙すると、(1)車内の構造物(ピラーやシートなど)に激突し、自らが傷害を負う危険性、(2)運転者や助手席同乗者へぶつかり、危害を加える危険性、(3)窓などから車外に放出される危険性、である。

 たしかに後席のシートベルトは着用しづらい。しかし、未着用のまま一定のスピード以上での事故が起こった場合、後席者は前方へ投げ出されベルト着用の前席者を押し潰しながら、場合によってはフロントガラスを割り車外へ放り出される。

 JAFでは「いのちをつなぐ一本がある」をテーマに特設サイトを設け、正しい着用方法やスムーズな着用法などの豆知識、未着用の場合の危険性などについて、動画や写真を用いてわかりやすく解説している。(編集担当:久保田雄城)

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