現存する世界最古の元素周期表、スコットランドで発見

2019年1月20日 21:27

●2014年に偶然発見された元素周期表

 2014年、イギリス・スコットランドのセント・アンドルーズ大学において偶然にその元素周期表は発見された。発見したのは化学者のアラン・エイトキン博士である。

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 保存状態は非常に悪く、長い間壁に貼られたままになり、その後は倉庫に無造作にしまわれていたことを物語っていた。元素周期表を考案したドミトリ・メンデレーエフと同時代のものと推測されたこの元素周期表は、修復を終えた結果、現存している世界最古の元素周期表であることが発表された。

●記載されている元素から作成年を特定する

 セント・アンドルーズ大学で発見された元素周期表は、それに記述されている元素から周期表の作成年を調査が進められた。調査を行ったのは、周期表の歴史の大家といわれるカリフォルニア大学のエリック・シェリー教授である。

 その結果、1875年から1879年の間に発見されたガリウムやスカンジウムは記述されていた一方、1886年に発見されたゲルマニウムの記載がないことから、元素表は1879年から1886年の間に制作されたものと特定された。

 また、表には1875年から1888年までウィーンで活動しており、この周期表の作成者とみられる科学者2名の名前「Verlag v. Lenoir & Forster, Wien」の文字があったことも、作成年の特定に一役買ったといわれている。

●日本の楮が修復に使用される

 メンデレーエフが最初の周期表を発表したのは1869年であるが、セント・アンドルーズ大学の周期表は、作成年や内容を考慮するとメンデレーエフの「第2周期表」と呼ばれるものとほぼ合致する。

 周期表は発見当時、しわが寄り消耗が激しかった。ナショナルトラスト(National Manuscripts Conservation Trust)の資金援助を受け、洗浄され日本の楮も使用して修復が行われた。修復後は、セント・アンドルーズ大学の特別なコレクションとして保管され、原寸大のコピーが化学部で公開されている。

 ちなみに、元素周期表は今年で150周年を迎える。2016年には、新たに113番(ニホニウム)、115番(モスコビウム)、117番(テネシン)、118番(オガネソン)の4個の新元素が加えられている。

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