ヤンマー、自動航行する「ロボティックボート」の基礎技術を開発
2019年1月18日 12:45
ヤンマーは17日、海上を自動航行する「ロボティックボート」の基礎技術を開発したと発表した。また、自動操船で着桟する「自動着桟システム」もあわせて開発した。これらの技術は、各研究機関による海洋試験や、プレジャーボートなど、幅広い分野での活用が期待される。
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ヤンマーが開発したロボティックボートの特徴は、「ミドルウェア採用のプラットフォーム」となっている点だ。ミドルウェア上でモジュール(プログラム)を組み合わせることで、操船動作などをカスタマイズできる。これにより、企業や研究機関の要望に応じた対応が可能となる。また、ヤンマー造船が得意とするガラス繊維強化プラスチック(FRP)成型技術を用いることで、荒波などの過酷な環境でも安定な航行ができるように設計されている。
また、ヤンマーが自動操船技術として開発した「自動着桟システム」は、衛星を利用したシステムだ。衛星からの位置情報と、同社が開発した中継器からの補正情報を組み合わせることで着桟のための軌道を自動的に算出し、自動着桟を行う。手操作による着桟では、岸や隣接する船との距離感を測りながら着桟する必要がるため、煩わしさが発生した。しかし、「自動着桟システム」で自動的に行うことができれば、着桟の際の操作の煩わしさから解放され、安全な航行にも寄与できる。
今回、ヤンマーが開発したロボティックボートは、内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「次世代海洋資源調査技術」の一環で開発を行い、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が行う海上資源調査の洋上中継器として使用された。これまで自動車や農業などでは自動運転技術の開発が進んでいたが、海上航行の自動化技術は十分に確立していなかった。このため、今回の開発は、自動操船の実用化に向けての進展につながる。ヤンマーは「将来的には、大地・都市・海の分野でロボット技術を共通化することで、自社商品の開発スピードの短縮につなげたい」としている。(記事:まなたけ・記事一覧を見る)