医師の休息時間、9時間確保を義務化へ 医療の質確保のため

2019年1月16日 10:07

 厚生労働省は長時間労働が問題視されている医師の労働時間について、退勤と次の出勤の間のインターバルを9時間にする方向で検討に入った。医師が十分な休息を取ることによってより質の高い医療を提供できるとの考えだが、医療機関側は業務に支障が出ると懸念を表明している。

 働き方改革の一環として、残業時間の上限規制が設定されている。一般労働者は2019年4月から改正労働基準法の施行により年間の残業時間の上限が最大で720時間に制限される。しかし人の命を助ける医師という仕事の特性上、上限の規制は2024年まで猶予されることになっている。さらに残業時間の上限を一般労働者よりも長い最大960時間とする案も検討されている。加えて医師が不足している地方に関しては、最大1920時間を上限とするという案さえ取りざたされている。地方都市では医師が毎月160時間の時間外労働を強いられる恐れもあり、日本医療労働組合連合会は難色を示す。こうした声に反応して提案されたのが医師のインターバル勤務だ。連続勤務時間制限と共に提案され、インターバル時間を9時間にすることを厚生労働省が検討するに至った。

 労働政策研究・研修機構が行った「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、全体の約40%が月80時間、約10%が月160時間の時間外労働を余儀なくされている。地方都市でこの残業時間が常態化すれば、医師のさらなる流出を招くのは必至だ。医師の健康維持と良質な医療の両立を図るためにはインターバル勤務は必要だろう。しかし医療機関側は、9時間のインターバルと取ると業務に支障をきたすと懸念を表明している。

 全国的に医師不足が深刻化する中、医師一人ひとりがこなさなければならない業務は膨大になりつつある。高齢化が進むにつれさらに医療の需要は大きくなっていくことが予想され、医師の負担を減らす努力が急務だ。インターバル勤務の検討はもちろんのこと、医師の待遇改善など医師の数を増やす努力も必要になるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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