待機児童数、低学年で減少も高学年では増加 新たな需要増に追い付けず

2019年1月15日 08:39

 政府統計によれば子育て中の女性の就業率は増加傾向だ。その一方で待機児童も増え続けている。2016年に保育園に入所できなかった母親のネットへの投稿が話題になり、保育所への待機児童が大きな注目を浴びた。待機児童には保育所への入所を待っている児童の他に学童保育施設への入所を保留されている小学生の待機児童も存在する。

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 先月、厚生労働省が発表した「2018年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(2018年5月1日現在)」を見ると、小学生の待機児童の数は1万7279人で前年調査の数字より109人の増加となっている。

 学年別に内訳を見ると、小学1年生が2667人で前年と比べ309人の減少、2年生が2113人で同139人の減少、3年生が4016人で221人の減少、4年生が5312人で384人の増加、5年生が2304人で227人の増加、6年生が867人で167人の増加となっている。低学年では減少となっている一方、高学年で増加となっている。

 登録児童数は123万4366人で前年に比べて6万3204人の増加となっており、掲載されているデータでは1998年から一貫して増加傾向を維持している。学童保育施設である放課後児童クラブの数は2万5328か所で前年に比べ755か所増加している。クラブ数の長期推移をみると98年から一貫して増加傾向で、学童クラブの待機児童数は増減を繰り返しながらもここ4年はわずかに増加傾向を示しながらも横ばい傾向だ。

 利用希望児童数(登録児童数と待機児童数の合計)に占める待機児童数の割合は17年には1.44%であったが18年には1.38%と減少しており、比率においては政府、自治体の取り組みは着実に成果を上げていると言えよう。

 学年別に登録児童数をみると、小学校1年生から3年生までで全体の81%を占めているが、15年より対象となった小学4年生から小学6年生の登録数が前年度比11%と小学1年生から小学3年生の伸び率4%よりも著しく高い伸びとなっていて、高学年において学童保育への需要が急増していることがうかがえる。

 厚労省は高学年での需要増について「15年から新たに対象となった小学4年生から6年生については、制度普及によるニーズの顕在化」などが背景にあるとし、「受け皿整備は着実に進んできている。今後も『新・放課後子ども総合プラン』に基づき2021年度末までに待機児童の解消を目指す」としている。(編集担当:久保田雄城)

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