宇宙からのメッセージ? 連続して発信される高速電波バーストを発見 加大学
2019年1月11日 18:11
宇宙の彼方から飛来する「高速電波バースト(FRB)」。地球外生命体が発信した等、FRBの原因については想像が尽きないが、いまだ謎のままだ。カナダのブリティッシュコロンビア大学は9日、繰り返し発信されるFRBを発見したと発表した。FRBはこれまで何度も検出されているが、連続した電波の受信は2度目だ。
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■大学生が最初に発見したFRB
FRBは、宇宙の彼方から数ミリ秒単位で発信される電波だ。米ウエストバージニア大学の学生が、2001年に最初にFRBを発見した。FRBを報告した指導教官のデュネカン・ロリマーにちなんで、当初はロリマーバーストと呼ばれた。
これまで発見されたFRBのほとんどは、同じ場所から発信されないランダムな電波だった。2012年に発見された「FRB 121102」は唯一の例外で、繰り返し発信された電波だった。ところが今回、カナダ水素密度マッピング実験(CHIME)が、繰り返し発信されるFRBを検出した。最初に発見されたFRB 121102と極めて似た特徴をもつという。
これまで発見されたFRBのほとんどは、1,400メガヘルツから2,000メガヘルツのあいだの周波数をもつ。一方、今回発見されたのを含め、繰り返し発信された2度のFRBは、400メガヘルツから800メガヘルツの間で、低い周波数をもつ。
■FRBが宇宙の構造の理解を深める
今回のCHIMEによるFRBの発見は、宇宙の理解を深める可能性を秘めているという。「(今回発見された連続して生じる)FRBの研究が宇宙内の電子や磁場の分布の検出に役立つ」と、カナダ・マギル大学のシュリハーシュ・テンドルカール氏は語る。宇宙の構造や分布を理解するのに、FRBが役立つという。
「われわれが知りたいのは、FRBがどのような種類の物体であり、ほかの爆発とどのように関連するのか、そしてそれはガンマ線バーストや超新星爆発といったわれわれの知る物体なのかだ」と、同氏は話す。
研究グループは今後、位置情報や周辺の磁場環境を調べるため、FRBから高解像度のデータを捉える予定だ。
研究の詳細は、英科学誌Natureにて7日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)