NGT48、暴行被害で浮き彫りになった問題点とは
2019年1月11日 09:12
ここ数日、テレビや新聞でも話題となっていた、NGT48山口真帆さんに関わる一連の事件は、11日に行われた公演での、本人の謝罪と同日に出された運営からのコメントで、一応の区切りはつけた形になった。
事の経緯は、いまさら説明するまでもないだろうが、今年に入って活動を休止していた山口さんが、昨年末に自宅で暴漢に襲われたこと。
その際、他のメンバーによる自宅や帰宅時間の漏洩・関与があったこと、運営が対策を取らず、このままでは事件がうやむやにされ、他のメンバーにも危害が及ぶかもしれないという危機感から、そのことをSHOWROOMで訴えたところ、突然映像を切られたことなどから事件が明るみになり、NHKがニュースにするところまで話が拡大したというものである。
山口さんの言い分を信じるとすれば、NGTメンバー内に犯罪を教唆した人間がいることになり、その実名を山口さんは運営に報告しているにも関わらず、なんら具体的な対応を取ってもらえず、犯人も不起訴ですぐに釈放されているということになり、NGTのみならず、アイドル業界全般にわたって、運営管理のずさんさや危険性を啓発することになる大問題である。
運営からのコメントによると、事件を認めた上で、最初は他のメンバーとは無関係というコメントがあったが、実際には町で声をかけられて住所は教えなかったが、帰宅時間は教えてしまったメンバーがいるという説明であった。
また、公演で山口さん自身が謝罪コメントをしており、これで一件落着としたいようではあるが、「何故被害者である山口さんが謝罪をさせられるのか?」「どうして犯人が不起訴になるのか?」「責任者による直接の説明や謝罪がないのはなぜか?」など、かえって炎上の度合いを高めてしまっている。
確かに、山口さんがSHOWROOMで訴えた事実……例えば、犯人の一人は他のメンバーの部屋から出てきた、犯人の口から複数のメンバーとのつながりを示す言葉が出てきたといった疑問は解決していないし、被害を訴えた女性が謝罪するという異常さも、OGの北原里英さえ疑問を呈する状態になっている。
元々、NGTやAKB、STUなどの多くのメンバーが所属しているAKSという会社は、アイドルのマネージメントをする目的で作られた会社ではない。
AKBは、あくまでもプラットフォームであり、劇場でスキルを認めてもらい、芸能プロダクションのスカウトを待つというコンセプトから始まっており、AKSはちゃんとしたプロダクションに入るまでの仮の事務所としてスタートしている。いつしか、その形がおかしくなり、仮住まい、一時預かり所であった事務所が、大量の、知名度のあるメンバーのマネージメントをすることになり、結果として手が足りなくなっているというのが現状であろう。
しかしながら、未成年を含めた多くのメンバーが所属しているという現実を考えれば、今回の事件はあまりにもお粗末で、早急な対策、改善が必要になってくる。
例えば今回、山口さんのプライバシーを漏らし、ファンとつながっていると、何の確証もなく名前を出され、つるし上げられ、個人のSNSに嫌がらせをされたメンバーもいる。運営としては、山口さんも守らなければいけないが、そうしたメンバーも守る必要がある。
彼女たちを叩いている人間は、それが理由でそのメンバーが自殺したところで、反省などせず、他のメンバーに言いがかりをつけてバッシングし、アクセスさえ稼げればメンバーがどうなってもいいという悪質なまとめサイトがそれを拡散するという悪循環を断ち切る必要もある。
今回、山口さんは事件当初はメンバーや運営に迷惑がかかることを考慮して、報道も匿名で出すように配慮し、内部での綱紀粛正を期待していたものの、それが果たされず、自分が被害妄想であると処理されることを恐れての告発であったが、この間、運営の人間は、警察の捜査に協力し、内部での聞き取り調査も行っている。
問題は、そうした動きを山口さんに伝えていなかったか、不十分であったかが原因で、彼女へのケアができず、表面化するまでに至ったことだろう。つまり、マネージメントの基本である情報共有ができていなかったのである。
こうしたことを防ぐには、マネージャーの数を増やし、一人一人にきめ細かいマネージメントをするしかない。果たして、それだけの対応をするのかどうか……。
AKBの運営、そしてプロデューサーである秋元氏の動向を見守りたいと思う。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)