出生率1.43で改善傾向も出生者数は大幅減

2019年1月10日 09:20

 厚生労働省が先月21日、2018年人口動態統計の年間推計の結果を公表した。この推計値は昨年の確定数に既に公表されている今年の10月分までの値と昨年の速報の値の比率等を乗じて算出された推計値である。

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 推計結果によれば、18年の出生数は92万1000人と見込まれ、昨年に比べ2万5000人の減少、出生率は人口千人に対して7.4と推計され昨年の7.6より0.2ポイント減少となった。死亡者数は136万9000人で昨年に比べて2万9000人の増加で、同死亡率は11.0と推計され、昨年に比べ0.2ポイントの増加となっている。

 出生数から死亡数を差し引いた自然増減数は44万8000人で昨年に比べ5万4000人減少幅が増大し、初めて減少幅が40万人を超えた。約45万人というと東京都葛飾区や兵庫県尼崎市の人口と同程度の人口がこの1年に減少したことになる。

 婚姻件数は59万000組で婚姻率は4.7と推計され、昨年に比べ1万7000組の減少、離婚数は20万7000組、離婚率は1.66で5000組の減少となった。

 出生数を単純に人口千人で割返した出生率は単調に減少傾向を維持しているが、1人の女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率は06年以降に増加傾向に反転しているものの、12年に1.4人台に回復した後は1.4前半の値で足踏み状態となっており直近データの17年では1.43人となっている。

 他の統計を見ると20代での第一子出産の数が減少傾向で、一方35歳以上の出生数が増加傾向となっており、単純に1人当たりの出生数が減っているだけではなく出産年齢が後方にシフトしているという要因も含まれているようだ。また、出生数も16年以降100万人を下回り急激な落ち込みが見られるが、現在の出産適齢人口は団塊の世代と団塊ジュニアの間の谷の世代の子供の世代であり、そもそも対象人口が少ないという要因も考慮する必要があるかもしれない。

 少子化は先進国に共通してみられることであるが、主要先進国9カ国で比較すると合計特殊出生率がもっとも少ないのが韓国で1.05、次いでシンガポールの1.16、イタリアが1.34で、次ぐワースト4位が日本の1.43となっている。ちなみにドイツは1.60、アメリカが1.77、イギリスが1.79、スエーデンが1.85、フランスが1.92となっている。

 仮に合計特殊出生率が改善したとしても出生数が死亡数を上回ることは当分期待できず人口減少は避けられない。人口減少を前提とした各種政策の充実が必要だ。(編集担当:久保田雄城)

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