「はやぶさ2」タッチダウン予定は2月18~24日に リュウグウ表面に命名 JAXA

2019年1月10日 12:00

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、今年初となる記者説明会で、小惑星探査機「はやぶさ2」の近況について3つの発表を行った。まず、タッチダウンに挑む日にちと着地する候補地点について、次に昨年末の合運用の結果と1月の予定について、最後に小惑星「リュウグウ」表面の地名申請の結果で、 IAU(国際天文学連合)で正式に認められた13カ所の地名についての発表だった。

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 「はやぶさ2」本体の1回目のタッチダウンは、2月18日から24日までの1週間以内に行う予定で、バックアップとして3月4日から10日の1週間を予定している。最短では、2月18日にタッチダウン運用を開始し19日にタッチダウンが出来るという。昨年の時点では、タッチダウンは1月下旬以降に行うとしていたが、日程が伸びた理由として、チーム内の検討の結果、タッチダウン候補地が2カ所に増えたことが挙げられた。

 タッチダウン候補地については、これまでL08-B(直径20メートル)としてきたが、円内の南側に推定70センチメートルのボルダーと言われる岩が7個ほどあり、危険性があることがわかったた。そのため、領域は狭くなるが、1つ目の候補地点をL08-B1(直径12メートル)に改めた。前回のリハーサル3回目で投下したターゲットマーカからは15メートル離れているが、比較的広いエリアである。

 もう一つの候補地点は、新たに定めたL08-E1(直径6メートル)である。領域はとても狭いが、ターゲットマーカから4、5メートルと近くにあり、誘導誤差を縮めることが期待出来る。2カ所とも一長一短で、現在もチーム内ではどちらの候補地点が良いか、データや写真を見て検討中という。

 1月はBOX-B運用を予定しており、リュウグウからの距離20キロメートル(ホームポジションと同じ高さ)を保ちつつ、探査機を上下左右に異動させ様々な角度からリュウグウを観察する。前回の合運用期間には南極側を見たため、今回は北極側を見るとのことだ。

 昨年11月23日から12月29日は無事に合運用を行った。合運用とは地球から探査機を見ると太陽方向に行ってしまう特殊な運用をいう。探査機からの電波が太陽のプラズマなどによる妨害により、探査機との通信が難しくなる。通信が完全に取れなくなったのは12月11日で、電波は届くことからビーコン運用(電波が強いと0、弱いと1)を行い機内の最低限の情報を得ることが出来た。現在は通常運用に戻っている。

 国際天文学連合(IAU)は、世界の天文学者で構成されている国際組織であり恒星、惑星、小惑星、その他の天体に対する命名権を取り扱っている機関である。JAXAは「リュウグウ」表面の地名のテーマを、子供たち向けの物語に出てくる名称にしたいという提案を6月28日に申請し、9月25日にこのテーマが認められた。

 論文などで取り上げられる重要な地形13個の地名を10月12日に申請。4タイプの地形として、Dorsum(ドルサム、峰や尾根) 、Crater(クレーター)、Fossa(フォッサ、溝や地溝)、Saxum(サクスム、ボルダーのことで岩や岩塊)と分けて命名した。これらのうちSaxumは、今回のミッションから新たにカテゴリが増えたとのことだ。

 代表的な名前としては、Dorsumでは、リュウジン(赤道付近に見られる尾根)、Craterでウラシマ(最大のクレーターで直径290メートル)、Fossaではトコヨ(リュウグウ最大の溝状凹地)、Saxumではオトヒメ(大きさが160メートルの岩塊)などがある。

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