日産、航続距離を40%向上させた「リーフe+」を追加設定

2019年1月10日 09:05

 日産自動車は9日、電気自動車「リーフ」に走行性能と航続距離を向上させた「リーフe+(イープラス)」を追加設定し、1月23日に発売することを発表した。

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■WLTCモードの航続可能距離は458km

 今回発表された「リーフe+」は、これまでの40kWhであったリチウムイオンバッテリーの容量を55%増加させ62kWhになった。それにより、航続距離は40kWhである従来モデルのリーフがWLTCモード で322km、そしてこれまでの測定値JC08モードでは400kmだったのに対し、WLTCモードが458km、JC08モードは570kmへと向上した。より、実電費に近い WLTCモードで458kmという性能は、通常の仕様であれば乗用車として十分な性能。日産によれば99.5%のユーザーをカバーできるとしている。

 EVの問題点として避けて通れないのが航続距離で、100㎞や200㎞では実用上問題ないとしても、なかなか手が出なかったものが、458kmとなれば不安はなくなるはず。額面通りの性能が発揮されないとしても、400km前後が期待できれば、これまで以上に興味を持つ人も増えるはずだ。

 もうひとつの問題は充電に掛かる時間だが、「リーフe+」では約25%高密度化されたバッテリーパックにより、最大出力100kWの急速充電に対応し、従来の50kWで急速充電した場合よりも、充電時間が短縮できるという。

■パフォーマンスも向上

 最高出力は従来型の40kWhモデルの110kW(150ps)に対して160kW(218ps)に上昇、最大トルクは320Nmから340Nmにアップしている。もともと十分なトルクはアップが少ないが、50kW(68ps)という出力の差は、ガソリン車で言えば1.5Lと2.0Lの差ぐらいの差となり、当然のように走りのイメージは別物となった。

 40kWhモデルでは最大加速Gが継続するのは発進から50km/h付近までなのに対し、リーフe+では70km/hまで伸び、80-120km/hの加速時間も15%減少するなどその効果が表れる。

■気になる価格

 リーフは従来型の40kWhバッテリー搭載モデルも引き続き販売される。

62kWh
e+ G: 472万9,320円
e+ X: 416万2,320円
40kWh
G: 399万9,240円
X: 366万1,200円
S: 324万3,240円

■必ずしも「e+」である必要はない

 同グレードの比較では、e+ Gの472万9,320円とGの399万9,240円価格差が、約73万円となっており、136㎞の走行距離の差だけでは埋められない。これに加えて50kW(68ps)という出力の差、そして充電時間の短縮などのメリットも考えて検討する必要がある。新設定されたばかりのため「リーフe+」を注目しがちだが、自身の利用状況を考えたら従来モデルでも十分だという人も多いはず。73万円の差は、けっして安くはないのだから。(記事:田中秀雄・記事一覧を見る

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