JAL、コンコルドの夢再び 超音速旅客機の現状と今後の展望
2019年1月10日 10:58
日本航空(JAL)は2017年12月、超音速旅客機を開発する米国のブーム・テクノロジー社(本社:コロラド州)に1,000万ドル(約11億円)を出資し、最初の20機を優先的に発注できる権利を獲得している。
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Forbes Japanは、ブーム社が、最近シリンバレーの投資家より新たに1憶ドル(約110億円)を調達したと伝えている。
超音速機の歴史は古く、1947年10月14日に遡る。この日、アメリカ空軍の軍人であったチャック・イエガーが乗ったベル「X-1」が、50回目の飛行で、公式・有人水平飛行において初めてマッハ1.06を記録した。
その22年後の1969年3月には英国とフランスの共同開発による「コンコルド」が初飛行を行った。最大マッハ2の速度で飛行し、これが超音速旅客機の始まりとなった。
しかし、当時「ソニック・ブム」と呼ばれる大音響の問題で、海上でしか超音速飛行が認めらなかった。また飛行距離が短いなど様々な問題を抱え、2000年に起きた墜落事故の影響もあり、2003年にはその運航を全て終了した。
JALは1963年にこのコンコルド機を3機発注したが、当時の世界的石油危機の影響で止むなくキャンセルした経緯がある。同社はその後もボーイング社の大型超音速機2707を8機オプション発注したものの製造計画そのものが中止され、超音速機運航の夢はあえなく消え去っている。
ブーム社は、巡航速度マッハ2.2(時速2,335キロ)の超音速旅客機を開発中であり、2020年代の半ば以降の導入を目指している。
現在の旅客機の平均速度は時速800~900キロ、現在11時間30分かかる東京―サンフランシスコ間を5時間半で飛行できる計算になる。
当初予定の座席数は45~55席で全席ビジネスクラス仕様とのこと。
ブーム社の創業者はJALが開発資金を拠出したことに関し、「これは歴史上初めてエアラインが超音速機開発に資金を出した事例で、画期的なこと」と述べている。
同氏は、JALは航空機の運航方式の決定・整備費の目標、客室内装の設計、ケータリングの仕様などについてもその開発に参画するとも話している。
日本の空に超音速旅客機が飛来する日を待ち望むのはJALだけではないだろう。(記事:kan1713・記事一覧を見る)