東大、いろいろな形に切り抜いて使えるワイヤレス充電シートを開発
2019年1月8日 11:52
東京大学では、スマホなどのワイヤレス充電システムに使える給電シートで、好きな形に切り抜いて、家具や衣服に張り付けられるワイヤレス充電シートを開発した。
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スマートフォンなどのモバイル機器の急速な普及から、機器をモバイル環境で容易に充電できるシステムの普及が望まれ、これまで、電磁誘導方式や磁界共振結合方式を用いたワイヤレス充電システムが次々と開発され、実用化されている。これらのシステムは、数個の送電コイルを内蔵した送電器の真上にモバイル機器の受電コイルを置き、ワイヤレス充電するもので、機器の設置位置が限定されたものとなっている。
また、これまで、ワイヤレス充電用給電シートは、給電システムを配置する形状に合わせてそれぞれコイルアレイを設計し、実装する作業が必要だった。そのため、スマホのワイヤレス充電ができるテーブルなどを作る場合、高周波回路の設計ができる技術者がいないと作製ができなかった。モバイル充電環境の拡充のためには、容易に使える給電システムの開発、普及が重要となる。
そこで東大では、切断されてもコイルアレイの機能が保たれるようにする配線形状の工夫と、隣接したコイル間の磁気的干渉を回避する制御技術とを組み合わせて、設置する場所の形状に合わせて切り抜いて貼るだけで使える磁界共振結合方式ワイヤレス充電シートを実現した。開発シートでは、コイルを密に配置することで、シート上のどこに受電機器を置いても給電できるように設計されている。
開発したシートでは、40センチ角のフレキシブル基板上に重さ82gのワイヤレス充電シートを形成し、人体への影響が小さいとされる数百kHz から数MHzの磁界を用いることで、最大5ワットまでのワイヤレス給電が行えた。この研究開発の詳細は、論文誌Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologiesに2018年12月28日、オンライン公開されている。