清水建設、リアルタイムの遠隔立会システム開発 検査業務の働き方改革を実現
2018年12月27日 16:59
清水建設(東京都中央区)は、山岳トンネル工事における検査・管理業務の合理化を目指し、タブレット端末を用いたリアルタイム遠隔立会システムを開発したと発表した。リアルタイム遠隔立会システムは、同社が開発を進めている次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の一環として開発したもの。
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遠隔地からでもタブレットを使ってトンネル内部のライブ映像の確認が可能となり、現地に行った場合とそん色なく検査ができるため生産性向上につながると期待する。西日本高速道路(NEXCO西日本)発注の「湯浅御坊道路川辺第一トンネル北工事」(和歌山県)に試験適用したところ、検査員が現地に行く必要がなくなり、検査の手間を大幅に削減できたという。
山岳部のトンネル工事では、工事現場と事務所が距離的に離れていることも多い。今回開発したリアルタイム遠隔立会システムは、トンネル内部のライブ映像のほか、施工状況の確認から記録写真・帳票類の承認に至る一連の検査プロセスを完結できる。働き方改革が官民をあげて注目されているなか、発注者・施工者双方の検査・管理業務の生産性向上の実現が求められていた。発注工事における施工管理の業務効率化に取り組むNEXCO西日本からも高評価を得ることができたため、試験適用に至ったという。
今回発表したリアルタイム遠隔立会システムは、テレビ会議機能と検査値入力・立会写真撮影機能を備えた遠隔検査ソフト、施工者用のタブレット端末、発注者の工事事務所に設置する閲覧用PC、サーバーPC、トンネル内無線通信網等で構成される。工事事務所の閲覧用PCとトンネル坑内のタブレット端末をインターネット回線でつなぐことで、双方の拠点間でライブ映像など様々な情報を共有することができる。最終的な立会検査の承認も、遠隔地から承認ボタンを押すだけ。働き方改革が業務の無駄をなくして効率化を実現した好例といえるだろう。(記事:香川大輔・記事一覧を見る)