米政府機関の一部が閉鎖 国境の壁をめぐる対立で予算成立せず
2018年12月23日 16:12
米国で政府機関の経費を含む予算案が成立せず、政府機関の一部が22日に閉鎖された(CNBCの記事、FOX Newsの記事、The Washington Postの記事、The Guardianの記事)。 米国ではメキシコとの国境に建設する壁の予算をめぐり、ドナルド・トランプ大統領と民主党が対立している。21日いっぱいで一部の政府機関の予算が期限切れになるのを前に、壁の建設費用57億ドルを除外した来年2月8日までの暫定予算案が19日に超党派で可決していた。トランプ大統領は署名する意向を示していたが、保守派の論客などから壁を作れなければ大統領の価値がないといった批判を受けたためか、最終的に署名を拒否。壁の建設費を含まない予算案には一切署名しないと宣言している。 20日には壁の建設費を盛り込んだ暫定予算案が下院で可決。翌21日に上院へ送られたものの、共和党の上院議員からも不満が出ており、結局時間切れとなる。トランプ大統領は審議を打ち切って採決に移る動議を過半数の賛成(通常は5分の3の賛成が必要)で成立させる「核オプション」の発動を上院多数党院内総務のミッチ・マコーネル上院議員(共和党)に要請したが、共和党内でも合意が得られないとして拒否されたようだ。 その結果、東部時間22日午前0時時点で司法省や国土安全保障省など9つの省および10以上の局の閉鎖が決定した。ただし、捜査機関や税関国境警備局の職員などは給与支払い日が未定のまま、政府機関閉鎖中も仕事を続けることになる。トランプ大統領は民主党が反対すれば閉鎖も長引くことになると強気だが、来年1月3日には下院の勢力が逆転するため、壁の予算確保はさらに難しくなる。