NYの視点:今後はパウエルプット期待できず

2018年12月20日 08:03


*08:03JST NYの視点:今後はパウエルプット期待できず
米連邦準備制度理事会FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利を0.25%ポイント引き上げた。

同時に発表されたスタッフ予測では2019年の国内総生産(GDP)やインフレ見通しが引き下げられた。また、2019年の利上げ見通しも従来の3回から2回に引き下げられたほか、長期の見通しも従来の3.0%から2.8%へ引き下げられた。その後に行われた会見で、パウエル議長は、「9月会合以降、逆流が出現」「利上げペースに多くの不透明感がある」と指摘。また、インフレが予想を下回ると指摘したほか、インフレ基調で、「FOMCが今後の政策で辛抱強くなることが可能」とするなど、ハト派色も多く見られた。

しかし、声明では市場が期待していたほどハト派色が見られなかった。文言の削除も予想されていた「さらなる暫定的な利上げが必要」との文言は、「いくらかさらなる暫定的な利上げが必要」と修正して維持された。バランスリスクも「リスクは広範に均衡」を維持。ただ、「景気見通しで、世界経済や金融、資産の展開を監視していく」と加えた。

パウエル議長は会合後の会見で、「経済の健全性が本日の利上げを正当化する」とし、勢いは弱まるものの、FRBの見通しで2019年の経済は依然強く、段階的な利上げを続ける方針を示した。最近の金融市場のひっ迫や世界経済の成長に関する懸念を認識しているとしながらも、利上げ軌道を修正するほどパニック状況になく、市場には金融支援がもはや必要ではないと、市場説得に努めた。今後の株式市場はパウエルプットが期待できない。市場も金融支援なく、拡大できる底堅さが必要となる。

■FOMC声明キーポイント

1)政策金利を 2.25%-2.50% に引き上げるか、
2.00%-2.25%に据え置きか政策金利を 2.25%-2.50% に引き上げ

2)「段階的な利上げ」

経済活動の持続的な拡大と、強い労働状況、
インフレが中期的目標の2%に近い状況から
「さらなる段階的な利上げを予想」⇒「いくつかのさらなる利上げがふさわしいと判断」
に修正。一部では文言の削除が予想されていた。

3)リスクバランス
「リスクは広範に均衡」と維持。
しかし、「見通しで、世界経済や金融、資産の展開を監視する」と加えた。

4)経済判断の引き下げ

「経済活動は強いペースで拡大」との判断を維持。
一部では、「強いペース」から「緩やかなペース」への引き下げなどが予想されていた。

5)反対票
利上げは全会一致。《CS》

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