九州の航空3社とANA・JALで有限責任事業組合設立へ 系列超えた協業促進
2018年12月20日 08:55
国土交通省航空局は18日、「地域航空の担い手のあり方に係る実務者協議会」の検討結果報告書を公表した。
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これは、本年3月に示された「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」の最終取りまとめにおいて、「一社化(合併)又は持株会社の設立による経営統合の形態を模索して行くべき」との報告がなされたものを受けたものである。
九州地域では、2019年度中に、ANAとJALの大手航空会社2社に、熊本が拠点の天草エアライン、長崎が拠点のオリエンタルエアブリッジ、鹿児島が拠点の日本エアコミューターの地域航空会社3社を構成員とする有限責任事業組合を設立することを目指す、としている。
本年4月23日には同協議会の初会合が開かれ、系列を超えて合併か統合を検討すべきだと提言した。これを受け、12月末までに組織形態について方向性を打ち出すとしていたものである。
有限責任事業組合(LLP)とは、2005年8月制定の「有限責任事業組合契約に関する法律」により作られた事業形態で、出資者(組合員)の出資額の範囲までしか責任を負わない制度。
有限責任により、出資者にかかる事業上のリスクが限定されるために、事業に取り組み易くなるという利点がある。組合員同士の合意により当該事業組合の意思決定をすることができ、、株式会社のように取締役会や監査役どの設置は強制されない。
今回の答申では、経営統合については継続課題とし、組合設立後3年を経過した時点でその取り組み結果についての総括点検を行うものとした。
経営改善の為には山積する課題を解決しなければならず、早期に経営統合をさせることは困難との判断をしたものである。
また、北海道については、九州での経過を検証したうえで、今後の取り組みを検討するとした。
脆弱な経営基盤に代表される様々な課題を抱える地域航空会社。かれらを取り巻く環境は益々厳しくなるものと予想される。
有限責任事業組合が今後の経営統合に向けて実行しなければならない課題は山積している。
機材の統一化・共通化、人員の確保・融通、運航・整備等業務の共同化、コードシェア(共同運航)による収益性向上及び需要の拡大等が挙げられる。
有限責任組合という柔軟な組織運営を十分に活用して課題を解決し、早期に経営統合が実現されることを願うものである。(記事:kan1713・記事一覧を見る)