世界各都市で広まる公共交通機関のEV化
2018年12月19日 08:28
あるAnonymous Coward曰く、 ロンドンでは赤い2階建車両のバス(ダブルデッカー)が有名だが、これを2019年までにすべてハイブリッド化し、また1回建車両のバス(シングルデッカー)は2020年までに排気量ゼロ、つまり電気自動車化(EV化)するという計画があるという(ロンドン市の見解)。排気に寛大なイメージがあるアメリカでも、ニューヨークの路線バスを運営するMTA(Metropolitan Transportation Authority)は2040年までに5700台全てをEVにすることを表明している(Inside Climate News)。
一方で、「ハードウェアのシリコンバレー」と呼ばれる中国の深圳市(人口1,200万人)では、既に16,000台の路線バス全てが今年の5月23日の時点でEV化完了しており、この半年、EVだけで運用されてきたことになる(ReVision Auto&Mobility)。
深圳では2018年中に22,000台のタクシーも全てEV化して、公共交通機関のオール電化を達成する見込みであり、中国政府は2020年までに30以上の都市を同じようにする予定である。
2017年6月の時点で全5698台のEV化を達成していたバス会社・深圳巴士集団公司(Shenzhen Bus Group、シェア40%で最大手)の副支配人ジョセフ・マー氏(Joseph Ma)は英">Guardian紙のインタビューで次のように答えている。
ディーゼルと比べると、夏場のバス停での耐え難い熱気や排煙の匂いなどが一切なくなったほか、圧倒的に静かになった。 安全のために人工音を追加するかはまだ検討中。 燃費は半額になった。CO2排出量も48%減で、NOXなどの排気に含まれる有害物質もなくなった。 バスは1両およそ180万元(約3,000万円)。コストの半額以上は国の補助金。 自治体は走行距離6万キロで50万元(約820万円)の補助金を出しているため、(不人気路線でも)運賃はかなり抑えられている。 充電は2時間で200km走行可。1日分の距離としては十分なので全て夜間に(順次)行う。 充電する土地の確保が大変。会社の持つ土地もあるが、公有地・私有地を多数借りている(のがコスト増)。 タクシーも4,600台保有しており、全てEV。 決まった路線を走るバスよりも、タクシーの方が充電の難易度が遥かに高い。 深圳は既に4万以上の車両充電施設があり恵まれた環境だが、場所に偏りがあってタクシー運営には全然足りない。 市営駐車場や村の共有地など方々に頼んで充電施設を設置させてもらっているところ。 記事では深圳がかなり平坦であることに触れ、高低差が大きい都市ではバッテリーへの影響が大きく出るだろうとしている。