日本の富裕層、世帯数や資産額がここ10年で急増中 野村総研が調査
2018年12月19日 19:45
野村総合研究所の調査によると、ここ10年ほどの景気拡大に伴って、富裕世帯の数や資産総額が増加していることが分かった。
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■資産5億円以上の超富裕層は8万4,000世帯
18日、野村総合研究所が日本における資産の推計と「NRI 親リッチアンケート調査」の結果を発表した。これは、各種統計を元に保有する金融資産額別の世帯数と資産規模を推計するとともに、富裕な親を持つ子供の生活意識などを把握することを目的に行ったもの。
2017年における超富裕層(純金融資産保有額5億円以上)の世帯数は8万4,000世帯で保有資産の総額は84兆円。以下、富裕層(同1億円以上5億円未満)は118万3,000世帯で215兆円、準富裕層(5,000万円以上1億円未満)は322万2,000世帯で247兆円、アッパーマス層(3,000万円以上5,000万円未満)は720万3,000世帯で320兆円、マス層(3,000万円未満)は4,203万1,000世帯で673兆円となっている。
■富裕層が増加した理由は?
2000年以降の推計を見ると、超富裕層の世帯数は2000年の6万6,000世帯から、2011年には5万世帯にまで減少したものの、2013年以降に増加している。総資産額は、最も少なかった2003年の38兆円や世帯数の最も少なかった2011年の44兆円から、2017年には84兆円と大きく増加している。
富裕層も2000年の76万9,000世帯(128兆円)から2017年の118万3,000世帯(215兆円)、準富裕層も2000年の256万世帯(166兆円)から2017年の322万2,000世帯(247兆円)となり、世帯数や総資産額が増えている。要因としては、景気拡大と株価上昇により富裕層・超富裕層の保有資産が拡大したことや、金融資産を運用(投資)している準富裕層の一部が富裕層に移行したことに加え、富裕層・準富裕層である世代からの相続、起業した後の新規株式公開などもあると推測している。
■親リッチは家族の結びつきが強い
「NRI 親リッチアンケート調査」では、親リッチ、つまり富裕層と思われる親を持つ男女684人と、そうではない男女267人を対象として、金融リテラシー(知識や判断力)や家族との関係について尋ねている。富裕層を親に持つ人は、そうではない人と比較して、男女ともに金融リテラシーや金利感応度が高く、金融情報感度も高めだった。さらに、「親は頼りになる存在」「子供の教育のためにはお金をおしまない」と考える人が多かった。
■夫婦の自立は性別で異なる結果に
さらに、「自分または自分の配偶者が海外で就労することに抵抗がある」の問いに対しては、富裕層を親に持つ人では抵抗を感じる割合が低めとなっている。ただし、「夫婦はお互い経済的に自立した方が望ましい」の問いに対する同意では、富裕層を親に持つ男性(64%)では、そうでない男性より(57%)も多かった一方、富裕層を親に持つ女性(70%)では、そうでない女性(73%)よりもわずかに少なく、性別で異なる結果となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)