18年の美容室倒産、11月までに86件 過去10年で最多の可能性 店舗過剰で淘汰
2018年12月11日 16:35
東京商工リサーチの調査によると、2018年1~11月の「美容室」倒産件数は86件に達し、年間では過去10年で最多となる可能性が高いことがわかった。
■美容室の倒産、2017年の1.3倍増で推移
1~11月の全国での美容室倒産は86件(前年同期64件)と、昨年の1.3倍増で推移。2008年以降の10年間で最多だった2011年の91件に迫る勢いだ。負債総額については、29億1,600万円(同26億5,900万円)で前年同期を上回っているが、負債5,000万円未満の企業が8割以上を占めたことから、平均負債額は3,300万円の小規模にとどまった。
■原因は「販売不振」が9割超え
原因別では、販売不振(業績不振)による倒産が78件(構成比90.6%)と最多。形態別では、事業消滅型の破産が79件(同91.8%)となった。
資本金別では、「個人企業」が48件(同55.8%)と過半数を占め、「100万円以上500万円未満」21件(同24.4%)、「500万円以上1千万円未満」9件(同10.4%)、「100万円未満」4件(同4.6%)と続いた。従業員数別では、「5人未満」が77件(同89.5%)と最も多かった。
■四国以外の8地区で倒産発生
地区別では、近畿の33件(前年同期比25件)が最多。関東20件(同24件)、中部16件(同3件)、九州6件(同7件)、中国3件(同0件)、北海道3件(同1件)、北陸3件(同0件)、東北2件(同3件)と続き、四国を除く8地区で倒産が発生した。
■店舗数はコンビニの4.5倍、オーバーストアで過当競争が激化
全国の美容室数は2008年度からの10年間で11.8%増となっており、その数はコンビニの約4.5倍に相当する24万7,578施設にのぼる(2017年度時点)。また、従業美容師の人数もこの10年間で17.9%増えているという(同年度時点で52万3,543人)。新規参入が比較的容易であることからオーバーストア(店舗過剰)を招きやすいと指摘されている美容室市場。クーポン割引やポイントカードなどの多用による過当競争が厳しさを増すなか、業界内の淘汰を避けることは困難としている。(記事:西舘妙子・記事一覧を見る)