LGBT概念、企業の認知度は85% 5割は「社内での存在、不明」
2018年12月11日 08:53
少子高齢化によって日本の総人口は減少している。中でも経済を支える生産年齢人口の減少は著しい。すでに日本社会は著しい人手不足の状況にある。より多くの者が社会活動に参加できるようにならなければ日本社会を維持できない。これに対し政府は「一人ひとりが個性と多様性を尊重され」「誰もが生きがいを感じられる」「一億総活躍社会」の実現を提唱し、もって経済力を強化する政策を推し進めている。
これまで社会参加しづらく政府の支援の対象となってきた者達の代表と言えば、女性、障がい者、高齢者だ。さらに現在、多様性という概念が強調されるようになってLGBTという概念も新たに登場した。LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったもので性的な少数派のことである。
2017年、日本経済団体連合会は会員企業にLGBTへの適切な理解を促進するよう通知している。現在、企業での取り組みの現況はどうなっているであろうか。
エン・ジャパンが自社サイトを利用している企業563社を対象に「LGBTの認知度」についてアンケート調査を実施し、その集計結果を先月27日に公表している。
LGBTという言葉について、その概念を知っているかという質問に対しては、85%の企業が「言葉と概念を理解している」と回答している。業種別では大きな違いは見られないものの「商社」で96%と認知率が高くなっている。企業規模別で見ると、1000人以上で95%、1~99名で80%と規模が大きくなるに従い認知率が高くなる傾向が見られる。
「LGBT社員の在籍実績はあるか」という質問には、「ある」が12%、「ない」は42%で、最も多いのが「わからない」の46%となっており、半数近くがLGBTの存在について企業として把握していないようだ。企業規模別に見ると1000人以上で「在籍実績あり」が42%と突出して高くなっているものの「不明」は47%で、把握していないという点では規模による格差は見いだせない。
担当が持っているLGBT対応に関する悩みについての自由回答を見ると、「表に出していない者も少なからずいると予測しているが、確認しづらい」、「インフラ整備が必要なケースもありすぐには対応できない」、「自社ビルでなく、他社との共有なのでトイレ等インフラ整備は単独でできない」、「どう対応すべきか社外事例を知りたいが、同業他社の事例が未だ存在しない」など、取り組みへの意志はあるものの具体的指針、基準等がなく担当者レベルで困惑しているのが現況のようだ。(編集担当:久保田雄城)