厚労省、企業や医療機関に対し風疹の抗体検査を呼びかけ

2018年12月4日 23:14

 昨今では国内でも風疹の感染例が増えているが、これを受けて厚労省が企業や医療機関に対し定期健診や人間ドックの際に抗体検査を行うことを呼びかけるという。また、抗体を持っていない39~56歳男性に対し公費で予防接種を受けられるようにするといった対策も検討しているという(毎日新聞)。

 これに対し、反対の意見もある。pongchang曰く、

 大人は風疹の単味ワクチンなど打つべきではなく、おたふく・はしか・三日ばしかの3種混合ワクチン(MMR輸入ワクチン)を35歳以上の男女に限り認定して労衛法の枠組みで抗体を測定しないで打てばよい。

 風疹の抗体検査で使われるHI法はガチョウ血球を使用するため動物虐待になる、という話はさておき、規模に対応しにくい。おたふく(ムンプス)もNHKのドラマ「半分、青い。」で知られたように中途難聴の原因となる。成人の再感染例も知られるようになった(ムンプスウイルス再感染例の頻度と臨床的特徴:論文PDF)。

 はしか(麻しん)も輸入に伴う流行が起こるたびに、ワクチンの需給を逼迫させる。第197回国会(臨時会) に提出された出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に伴い外国人人材の登用が相次げば、確実に輸入感染症としてのムンプス・麻しん・風しんが発生する。観光客もすでに増えている。もちろん企業に勤めれば海外出張や赴任だけではなく、出張者の受け入れも顧客の対応もある。また、ムンプスに関してはワクチンによる無菌性髄膜炎のため定期接種から外されており定期接種が待たれている(「おたふくかぜワクチンの早期定期接種化について」の要望書PDF 第9回厚生科学審議会 小委員会資料小委資料)。

 有害事象については小児ほど深刻に受け止めず、成人が小児の定期接種分の国産ワクチンを奪わないよう、輸入MMRワクチンを成人限定で認可したほうが良い。事業者や健保組合が従業員・被保険者にワクチン接種できる道筋をつけるほうが、自治体と住民という組み合わせよりも、就業時間内に実施しやすい仕組みが整い「飴と鞭」も効くだろう。

 2008年には第3期・第4期と銘打って麻しん風しんの予防接種を中学生や高校生に行ったが、80%を割る接種率で漏れもあった。この世代(2018年時点で30歳以下)も抗体価は十分とは言えない。ムンプスだけ風しんだけを用意しよう(生産物流の見積もりを立てよう)とするのもなかなか難しい。

 ワクチンの需給を逼迫させず、国民を護る仕組みは、抗体価を測って何々だけ打つのではなく、MMR3種混合ワクチンの成人の定期接種化である。

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