イルミネーションシーズン到来 老舗から体験型まで、個性ある輝きが夜を彩る
2018年11月24日 17:12
今や、日本の冬の風物詩となったイルミネーション。今年もすでに日本の随所で、色鮮やかな電飾が煌めき始めている。正直なところ、イルミネーションイベント自体はもう珍しいものではない。カドカワ株式会社が運営するインターネットサイト「ウォーカープラス」には、今年のイルミネーションイベントが約700か所も掲載されているほどだ。それでも毎年、各所のイルミネーションイベントに大勢の人が集まるのは、それだけ魅力が大きいということなのだろう。
例えば、関西における大規模なイルミネーションイベントの草分け的な存在としてしられる「神戸ルミナリエ」には、ピーク時の500万人超には及ばないものの、今でも毎年、300万人を超える人手がある。同イベントは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の被災者の鎮魂と追悼、被災地の復興を祈念して始まったものだが、当時はまだイルミネーション自体が珍しく、期間も12月のクリスマス時期限定のものなどが多かった。その後、全国の観光地やテーマパークでもイルミネーションイベントが導入されはじめると人気が加速。それに伴ってシーズンも少しずつ長くなり、今では11月から年明けにかけて、日本各地で鮮やかな光の祭典を楽しめるようになった。
また、民間企業や団体が社会貢献活動の一環として催しているものもある。京都で恒例となっているのが、ローム株式会社が主催するイルミネーションだ。同社の本社周辺の緑地が、11 月22 日から12 月25 日までの約1ヶ月にわたって約86 万球の電球で彩られるこのイルミネーションイベントも、今年で20回目を迎える。毎年、光の演出だけでなく、会場では様々なイベントが行われるが、今年も期間中に合計94 ステージに及ぶ関西最大級の大学生アカペラコンサートが毎週末に開催されるほか、大人も子どもも楽しめる参加型イベントや、ロームシンフォニックバンドによるオープニングコンサート(11月24日16:45~/19:00)など、家族で楽しめる文化的なイベントが盛りだくさんで行われる予定だ。地元京都の人はもちろん、大阪や滋賀など近隣県からの来場者も多いという。
集客力のあるイルミネーションイベントは町おこしなどにも利用される。とはいえ、単純に大規模な電飾を施しただけでは他のイルミネーションイベントに埋もれてしまう。そこで最近はイルミネーションにプラスアルファの体験を加えて、他との差別化を図ろうとする企画が増えている。
静岡県伊東市の「伊豆ぐらんぱる公園」では、光のショー演出に加え、約600万球の大規模イルミネーションの上空をワイヤーロープで滑るアトラクション「ジップライン~流星RYUSEI~」を導入して話題を呼んだ。また今シーズンからは夜行性の動物「キンカジュー」のエサやり体験も始めるなど、体験できるイルミネーションの幅を広げている。
この他にも、全国各地で様々なイルミネーションイベントが開催され、趣向を凝らしたものも多いので、ネットで検索したり雑誌で調べているだけでも楽しいものだ。
LED電球自体が放つのは、白熱灯などよりもはるかにクールで静かな光だ。でも、そのまばゆい輝きを見ているだけで心が踊り、時に暖かくも感じられるのは、そこに見に来た人の心を癒し、楽しませようとする主催者の工夫や真心が込められているからなのかもしれない。イルミネーションシーズン本番。今年はどんな輝きに出会えるか楽しみだ。(編集担当:石井絢子)