創業80年の仏具店が独居老人見守るIoT仏具開発へ クラウドファンディング活用

2018年11月23日 12:02

 独居の高齢者が仏壇にある「おりん」を鳴らすと、離れて暮らす家族の元に通知が届くIoT技術を使った見守り機器を商品化しようと、京都の老舗仏具店が22日、クラウドファンディングを使った資金集めを始めた。目標は30万円で、集まった資金で試作品を制作することにしている。

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 資金集めを始めたのは、京都市中京区で仏具の製造・販売を行っている「作島」(作島寛社長)。同社は昭和7年創業の老舗で、伝統的な仏具のほか、モダンな家具にも合うデザイン性のある仏具も手掛けている。今回、商品化を目指すおりんは、棒でたたいて鳴らしたときの音や振動を、台座に仕込んだセンサーが感知して家族のスマートフォンに通知する仕組みで、「みまもりん」と名付けた。

 作島社長が、知り合いの僧侶から「おりんとIoTを組み合わせて独り暮らしのお年寄りを救えないだろうか」と相談されたのが製品開発に取り組むきっかけ。最初はよいアイディアを思いつかなかったが、ある日、「毎日の習慣として行っていることを通じて、離れて暮らす家族に元気で過ごしていることを知らせられるのではないか」と思いつき、おりんを鳴らすと反応するセンサーというアイディアにたどりついたという。このアイディアをIoT製品に詳しい知人に相談したところ、「作ることは可能で、協力したい」という返事があり、商品化に取り組むことを決めたという。

 資金の募集は、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」のサイト上で行っており、2019年2月22日までに30万円を集めるのが目標。集まった資金は、試作品の製作に使われる。

 1人暮らしをしている高齢者の数は年々増加しており、内閣府がまとめた高齢社会白書によると、2015年に1人暮らしをしている65歳以上の男女は約593万人。20年後の2035年には約842万人に達すると予測されている。

 作島社長は、「実現すれば、お年寄りが難しい操作をすることなく、おりんを鳴らすだけで家族に無事であることを知らせることができる。一人暮らしをするお年寄りとその家族が毎日、安心して暮らせるよう、みなさんの力を貸してほしい」としている。

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