日本郵船、CO2排出ゼロのコンセプト船「NYKスーパーエコシップ2050」発表
2018年11月15日 16:34
日本郵船は、水素による燃料電池と太陽光発電によって航行する、二酸化炭素排出ゼロ(ゼロエミッション)を目標とする自動車専用船の新コンセプト船、「NYKスーパーエコシップ2050」を発表した。
【こちらも】国際海事機関、2050年までに海運船舶のCO2排出量半減で合意
船体重量そのものを軽減すると同時に船型を最適化、船体の摩擦抵抗を低減し、また燃料電池と太陽光パネルの採用によって、現在運航されている同規模の一般的な船舶と比べて70%にのぼるエネルギー量削減が可能であるという。
まず船体である。船体構造に、数学的・力学的に最適化された形状を採用、素材にも複合材などを用いることで軽量化をはかる。また、軽量化したことで問題となる船体の安定に関しては、コンピューター制御によるジャイロスタビライザーなどの動揺軽減装置の導入によって対処する。
また、空気を船底に送り込んで泡を発生させ海水の摩擦抵抗を低減する「空気潤滑システム」を導入。停泊時には船体清掃ロボットによるクリーニングを施して、船速の低下を予防する。
推進には従来のようなプロペラではなく、複数のフラップ上のフィンをイルカの尾の動きのように動かし、推進効率を高める。
保守整備を見てみよう。船体の状況をデジタル上に再現するデジタルツイン技術によって、陸上専門家によるリアルタイム分析、また事故や不具合を未然に防ぐ整備計画の立案が可能になるという。
入出港に際しては、高度な最適運行計画により、港湾施設の稼働や包括的な船隊の最適化によって、荷役作業の効率化が可能である。
現在の一般的な自動車専用船との比較を見てみよう。全長は199.9mで、喫水は9.0m、この二つは変わらない。幅は35.6mから49.0mと大ぶりになる。エアードラフトは45.6mが31.0mに。主動力は現在、C重油によるディーゼルエンジンが主流であるが、これを水素による燃料電池とする。また、再生可能エネルギーとして、太陽光発電が導入される。
日本郵船は、2050年までに温室効果ガス排出量を50%削減(対2015年比)するとした目標に向け、その実現に取り組んでいくという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)